ジプレキサ × 禁煙

医師のための薬の時間

ジプレキサ、テオフィリン服用患者の禁煙時は要注意!

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/doctors/series/drug/imedis/200608/501273.html



オランザピン(ジプレキサ)を服用中のヘビースモーカーが突然禁煙すると
オランザピンの血液中濃度が上昇して副作用が惹起する可能性がある。


患者が禁煙を開始した場合は
1 週間程度かけて、ジプレキサの処方量を半量程度まで、漸減していく必要がある。


オランザピンと同様、患者の喫煙状態の影響を受ける薬剤として
喘息治療薬であるテオフィリンや
抗うつ薬であるフルボキサミンルボックス)が挙げられる。


患者の禁煙または減煙によって起こる過量投与状態を避けるためのジプレキサの減量例

(1 日目:17.5 mg)
ジプレキサ錠(10 mg) 1 錠
ジプレキサ錠(5 mg) 1 錠
ジプレキサ錠(2.5 mg) 1 錠 朝食後服用


(2 日目:15 mg)
ジプレキサ錠(10 mg) 1 錠
ジプレキサ錠(5 mg) 1 錠 朝食後服用


(3 〜6 日目:12.5 mg)
ジプレキサ錠(10 mg) 1 錠
ジプレキサ錠(2.5 mg) 1 錠 朝食後服用


(7 日目:10 mg)
ジプレキサ錠(10 mg) 1 錠 朝食後服用



喫煙によって血中濃度が低下し禁煙時に注意を要する薬物
http://iphiss.jp/images/dquiz/7/dquiz_7_table2.html


図. 喫煙健常者と非喫煙健常者にオランザピンを経口投与後のAUC と投与量の関係
http://iphiss.jp/images/dquiz/7/dquiz_ans_7_fig1.html


CYP1A2 活性が非喫煙状態に回復するのにおおよそ1週間以上要することをふまえ
禁煙開始後に1週間程度で誘導状態が9割方回復していると仮定した
オランザピンの服用量の調節法
http://iphiss.jp/images/dquiz/7/dquiz_7_table1.html


症例
http://iphiss.jp/images/dquiz/7/dquiz_7_list.html
【症例 1】
25 歳の男性、21 歳から双極性障害のため治療を受けていた。
オランザピン 30 mg/日による治療が導入されたが
特にこれといった副作用は惹起しなかった。
オランザピンでの治療が 5 週間行われた後に
患者は喫煙量をこれまでの 40 本/日から 10 本/日に減量した。
4 日後、患者はアカシジア(静座不能)を発現し
その後、アキネシア(運動不能症)などが現れるようになった。
オランザピンを20 mg/日に減量したところ、症状は改善した。


【症例 2】
65 歳の女性
肺気腫の治療のため徐放性テオフィリン 200 mg を 1 日 2 回服用していた。
患者の喫煙量は以前は 90 箱/年程度であったが
あるとき、患者は自己判断で禁煙した。
その結果、禁煙後、3 週間にわたって衰弱、断続的な悪心、嘔吐があり、入院に至った。
テオフィリンを過量服用した痕跡はなかった。
その後痙攣まで起こり、血清中のテオフィリン濃度は 45.2 μg/ml と上昇していた
(治療濃度:10〜20 μg/ml)。患者は、最終的には死亡した。


【症例 3】
35 歳の男性の統合失調症患者が
7 年間継続して 700 〜 725 mg/日のクロザピンを経口投与されていた。
患者は、慢性的なヘビースモーカーだったが、あるとき禁煙したところ
2 週間後に混迷・昏睡を伴う間代性強直性けいれんが突然発症した。
2 日後患者は完全に症状から回復したが
クロザピンの投与量は425 mg/日(約 40% 減)で問題なくコントロールすることができた。