トランサミン

静岡新聞「薬の相談室」より
大石順子先生 静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長

質問

32才女性。
シミが目立つようになったので受診したところ
女性ホルモンが関係する肝斑(かんぱん)と言うシミで
トランサミンという薬が処方されました。

回答

肝斑は、境界のはっきりしないモヤモヤとした淡い茶色のシミが
両頬や口のまわりに左右対称に現れるシミです。
肝臓のシミ、「肝斑」と書きますが、肝臓の病気とはまったく関係なく
女性ホルモンのバランスが影響してできるシミと言われています。


肝斑が発生しやすいのは30〜40歳代の女性で
症状が見られるのはだいたい50歳代後半までで
その後閉経とともに薄くなったり、消えたりする傾向にあると言われています。


第一選択される治療は
メラニンが作られる前の段階でメラノサイトの活性化を阻害して
肝斑の発症を抑えるトラネキサム酸の内服薬です。
この薬は、抗炎症、抗アレルギー効果や止血効果があり
以前から医療用医薬品では
湿疹、じんましん、扁桃炎、口内炎、止血などの治療に用いられていました。
また、市販薬でもかぜ薬に使われていたり
L-システインやビタミンCを配合した肝斑の治療薬も市販されているので
これらの薬との併用には気を付けてください。


なお、さまざまなシミにおいて、メラニン除去にはレーザー治療が用いられますが
レーザー治療による刺激は肝斑を悪化させることがわかっているので注意が必要です。