レバチオ

(2009年9月17日 読売新聞)より一部改変
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20090917-OYT8T00693.htm


肺動脈性肺高血圧症
A子さん(38)は、駅の階段を休まないと上りきれなくなり
病院で「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」と診断された。
体を動かすと息苦しく、自宅で寝込む生活が続いた。


シルデナフィル(商品名レバチオ)の服用を開始
徐々に息切れが改善し、今は飲食店でのアルバイトもできるまでに回復した。


肺動脈性肺高血圧症は肺動脈の血管壁が厚くなり、内腔が狭くなって起こる。
肺動脈の血圧が高くなって血流が悪化し、血液がたまって心臓の右心室などが拡張する。
また、全身へ送られる血液量が減り、酸素不足になる。


膠原病や先天性の心臓病などとともに表れることが多く、原因不明のこともある。
血管にコレステロールがたまって内腔が狭くなる「動脈硬化」とは関係がない。
A子さんは、膠原病の一つ、全身性エリテマトーデスを患っていた。


初期にはほとんど自覚症状がないが、病状が進むと
〈1〉階段を上る時などの息切れ
〈2〉胸がドキドキする動悸や胸の痛み
〈3〉運動時の失神……などが表れる。
また、血液を送り出す右心室の働きが悪くなり、血流不足となって命を落とすこともある。
患者数は6000〜1万人で、20〜40歳代の女性が多い。


レバチオは血管を広げて血圧を下げて血流を良くする働きがある。
この成分は「バイアグラ」として承認されていたが
肺動脈も広げて、肺高血圧症の症状を改善させることが分かった。


副作用は、顔のほてりや頭痛など軽いものが多い。
男性では、性的興奮があると勃起することもあるが、ほとんど、このような症状は出ない。


1錠1179・8円
PAHの一つ、原因不明の「原発性肺高血圧症」は難病に指定されており
医療費は公費補助が受けられる。


別の仕組みで肺動脈を広げる経口薬ボセンタン(商品名トラクリア)もある。