竹中平蔵

混迷経済の処方箋
http://president.jp.reuters.com/article/2009/09/04/B0571632-8B03-11DE-B405-0EC03E99CD51.php


どうすれば日本経済を再生できるか

小泉改革というのは、特別なことをやったかのように考えている人も多いようですが
実際には世界でやっていることを一部取り入れただけなんです。
郵政民営化はドイツやオランダでもすでに行っています。
不良債権処理に公的資金を注入するという政策も、北欧諸国や米国がすでに経験しています。
普通のことをやるだけで、日本はもの凄く強くなれるのです。
たとえば次の3つのことを今この時点で日本が行えば
日本経済の景色は大きく変わると思います。

1.羽田空港を2倍に拡張して24時間国際空港にする

東京は間違いなく世界一のビジネスセンターです。
東京のGDPはニューヨークを上回っていて
大企業の本社の立地数でも東京はニューヨークやロンドンを凌駕していますが
金融センターではありません。
それはアジア太平洋のハブとしての機能を持っていないからです。
羽田空港を2倍に拡張するには1兆円もかかりません。定額給付金の半分以下です。

2.法人税を引き下げる

日本の法人税の実効税率は40%です。
欧州はだいたい30%、アジアは20%かそれ以下です。
日本の法人実効税率を香港並みの20%にするというメッセージを出すだけで
もの凄いインパクトがあります。

3.東京大学の民営化

私たちは知識経済の中に住んでいます。
強い大学がなければ強い経済にはなりません。
最先端の技術開発もさることながら、
優秀な労働力を供給するという意味でも、大学の役割はきわめて重要です。
日本でいちばん多くの予算を使っている大学は東大です。
しかしランキングでは世界19位。
ハーバード、プリンストンスタンフォードケンブリッジといった
世界トップ10に入る大学の中に国立はありません。
国立ということは政府から運営費交付金、つまり補助金を受けています。
補助金を受けている企業が世界一になるはずはありません。大学も同じなのです。