エリスロマイシン少量長期療法

Q:
エリスロマイシンが長期に処方されている患者がいるが
そのまま見過ごしていいのか?


A:
びまん性汎細気管支炎などの治療である。
抗炎症作用、喀痰分泌抑制作用
バイオフィルム形成阻害作用、が期待される。
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びまん性汎細気管支炎
diffuse panbronchioltis;DPB
慢性の咳,痰,労作時の息切れを主症状とし
慢性気道感染の進行による呼吸不全のため
不良の転帰をとることが多かったが
近年エリスロマイシン療法などによって予後改善がみられている。


肺全体に広範に起こるため“びまん性”
気管支の腔内、壁内、壁周囲に炎症が起こるため
“汎”という言葉がつけられている。
喫煙とはとくに関係ない。


エリスロマイシンなど14員環マクロライド剤による少量長期療法
EMの作用機序は未だ不明であるが,その特徴として
(1) 治療効果の 発現までに少なくとも1〜3カ月を要する
(2) 感受性のない緑膿菌を含め,細菌の種類によらないこと
(3) 喀痰中の細菌が消失しなくとも病態の改善が得られること
などが挙げられ
慢性気道炎症 そのものを改善する効果が認められる。
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/097_i.htm
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10750200.html


最近では、DPB だけでなく慢性気管支炎、気管支拡張症、副鼻腔炎
滲出性中耳炎などにもマクロライドの少量長期投与が行われています。


もう一つ、エリスロマイシンには以外な作用が知られています。
それは「モチリン様作用」と呼ばれる消化管運動亢進作用です。
ヒトの消化管においては、空腹時に1〜2時間ごとに胃から始まって
回腸末端(盲腸の前)まで移動していく
周期的な強い収縮運動が生じていることが知られており
これを空腹期肛側伝播性強収縮帯(IMC)と呼んでいます。
このIMCを制御しているのが「モチリン」と呼ばれる消化管ホルモンです。
エリスロマイシンはモチリン受容体に作用し
消化管運動を亢進させるという報告があります。
この場合も少量投与で効果を発現するとされています。
http://square.umin.ac.jp/jin/text/dpb.html