心臓喘息

夜間に喘息様の発作を起こした心不全患者

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変

◆Question

71歳 女性 慢性心不全
先日、寝床に入ってから少しすると
急に咳や痰が出て、息が苦しくなり、ゼーゼーしました。
病院で、心臓喘息だと言われました。
どうして心臓が悪いと喘息が起きるのでしょうか。

◆服薬指導

肺の血管に血液が溜まって呼吸がしにくくなり
息苦しさや咳などの症状が出たと考えられます。
呼吸するたびに出たゼーゼーという音は
気道の付近にもむくみが生じて、気道が狭まったことによるものです。
安定した状態を保つためには、きちんとお薬を飲むことが大切です。

◆解説

心不全では、右室の後方にある静脈や肝臓がうっ血するため
肝腫大や浮腫、静脈怒張などを起こす。
一方、左心不全では、左室の後方にある肺循環がうっ血し
ガス交換が障害されて呼吸困難を生じる。
軽度の場合は、易疲労感や労作時の息切れだが
進行すると安静時にも呼吸困難を生じるようになる。


夜間発作性呼吸困難とは
就寝から数時間後に突然、呼吸困難や咳、痰を生じて覚醒する症状をいう。
発症機序の詳細は不明であるが、臥位をとったことで下半身の静脈圧が低下し
血管外水分が血管内に移行して静脈還流量が増大することが要因と考えられている。
また、睡眠によって呼吸中枢の反応性が低下し
低酸素血症がかなり進んでから発作的に症状が起こる、ともいわれている。


夜間発作性呼吸困難では、呼吸困難と咳に加えて、喘鳴が現れることがある。
肺うっ血によって肺間質や気管支粘膜に浮腫を生じ
気管支が閉塞することが原因とされており
症状が気管支喘息の発作とよく似ているので、“心臓喘息”と呼ばれる。
心臓喘息では、起き上がって座り、静脈還流を腹部や下肢にシフトさせると
改善することがあるが、できるだけ早く受診して処置を受けることが大切である。