「サル痘」とは?

「サル痘」 欧米などで報告相次ぐ 症状・注意すべき点は…
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220520/k10013634951000.html

「サル痘」とは

国立感染症研究所によりますと、「サル痘」は
1958年にポリオワクチン製造のために世界各国から
霊長類が集められた施設にいたカニクイザルで
最初に発見されたため、「サル痘」という名前が付けられました。

WHOによりますと、
ヒトでの「サル痘」の潜伏期間はおおむね6日から13日で、
その後、顔や体に特徴的な発疹が出るほか、
発熱やのどの痛み、リンパ節が腫れるなどの症状が出るということです。

過去にアフリカで感染が起きた際には、
致死率は数%から10%程度に上ったと報告されています。
“サル痘ウイルス”は、
ネズミやリスなど感染した動物にかまれたり、
血液や体液、発疹に触れたりすることで感染することがあるほか、
感染した人の発疹や体液に触れたり、飛まつを浴びたりすることで、
ヒトからヒトに感染する可能性があるということです。

ただ、WHOは、ヒトからヒトへの感染は
密接な接触によるもので、比較的限られているとしています。

ペットを通じて…

2003年にアフリカからペットとして輸入された小動物を通じて
アメリカにウイルスが持ち込まれたあと、合わせて71人が感染しましたが、
亡くなった人はいなかったということです。

アメリカのCDCによりますと、
感染した人はプレーリードックと接触があったとしています。
国立感染症研究所によりますと、
“サル痘ウイルス”には大きくコンゴ型と西アフリカ型があり、
コンゴ型は病原性が高いということです。

天然痘ワクチンに高い予防効果

「サル痘」には特異的な治療法はなく
対症療法で対応されていますが、
1980年に根絶された天然痘に対するワクチンが、
「サル痘」にも高い予防効果があるとされています。

「サル痘」注意すべき点は 【一問一答】

「サル痘」に詳しい岡山理科大学の森川茂教授に話を聞きました。

Q.どんな病気なのか。
「モンキーポックスウイルス(=サル痘ウイルス)は、
天然痘に似たウイルスで、
ヒトに感染すると天然痘のような症状を出すことが知られています」
「2種類、大きく分けて強毒型のと、それほど強毒でない方があります。
アフリカでは今も流行が続いて、毎年患者さんが出ています。
アフリカから帰国した人とか、アフリカから来た人がイギリスとか海外で発症して、
それで見つかるというケースが最近相次いでいるという状況だと思います」

Q.イギリスとかで見つかったウイルスはどちらのタイプなのか。
「ナイジェリアからイギリスに輸入症例として
過去何年か出ているケースでは、
ナイジェリアで今流行してる西アフリカ型という
比較的病原性が低いとされている方のモンキーポックスウイルスであることがわかっています。
強毒型は主にコンゴ民主共和国を中心に分布しているウイルスで、
ヒトからヒトへも比較的容易に感染するようになってきていて、
重症例では天然痘と区別のつかないような症状を出して
死亡するケースも知られています」

Q.強毒型でなければあまり心配はないのか。
「西アフリカ型は、サルに対する病原性も低いとされていて、
ヒトでは非常に軽症で済むと言われていましたが、
ナイジェリアでここ数年流行が相次いでいる中では、
かなり重症化しているケースもあります。
弱毒型の西アフリカ型でも、ナイジェリアで流行している株は、
少し強毒化している可能性が指摘されています」

Q.怖いウイルスということか。
天然痘ほど強いウイルスであるというふうには今のところなっていません。
昔は天然痘のワクチンを世界中の人が受けていたので免疫がありましたが、
今の若い世代の人たちは天然痘がなくなったので
天然痘のワクチンを受けていません。
免疫力の低い基礎疾患のある方とかの場合は
重症化するリスクがないとは言えないと思います。
新型コロナウイルスのようなパンデミックを起こすようなウイルスではないと思います」

Q.なぜでしょうか。
新型コロナウイルスは呼吸器感染で広がるウイルスなので、
かなり広がりましたが、ポックスウイルスは主に接触感染、
一部飛まつ感染しますけれども、
それほど感染力が強いわけではないので、
一気に世界中にひろがるものではないと思います」

Q.もし国内に入ってくるとしたらどういう状況が考えられるか。
「おそらく、その流行国で感染した人が潜伏期間中に帰国して、
あるいは流行国の人が
日本に訪問されたときに発症するケースで出ることが想定されます。
もともとはリスが持っているウイルスで、
輸入動物として感染した動物が入ってきた事例というのは、
20年ほど前アメリカでありましたので、
そういうリスクがゼロというわけではないです」

Q.私たちはどう気をつけたらいいのか。
「(海外の感染が広がっている地域で)
野生動物にむやみに接触するようなことは避けるというのが重要、
特に海外に行ったときは重要だと思います」