コロナ禍でMR淘汰が加速する

高給取りの「製薬営業」が大量にクビにされる訳
ピークから1万人減、コロナ禍で過剰体質も露呈
https://toyokeizai.net/articles/-/395485

週刊東洋経済』12月14日発売号は、「製薬 大リストラ」を特集。

武田は今年8月、
国内の営業部門を対象に希望退職者を募集した。
同社のMRは、およそ2000人。
会社側からの発表はないため詳細は不明ながら、
今回500~600人程度が応募したのでは、という見方が社内で飛び交っている。
であれば、各現場の3~4人に1人が会社を去った計算だ。

「辞める」と言うまで続いた面談

武田では、募集が始まり面談において、
人によってその内容や回数に大きな違いがあったという。
武田の中堅MRのB氏は、
「昔の上司の何人かから、辞めることになったと連絡が来た。
私は形式的な面談2回だけで終わったが、
40代後半から定年間際の人には5回以上の面談もざらにあった。
『辞める』と言うまで繰り返されていたようだ」と話す。

武田の国内営業部門は、がんや精神疾患など、疾患領域ごとに
「ビジネスユニット」と呼ばれる部門で成り立っている。
今回の再編の目玉は、ビジネスユニットの中で
とくに規模が大きかった生活習慣病の部門の縮小だった。
再編によって、これまで全国に150以上あった営業所は7割減らされて50カ所になった。

退職者募集開始後の面談では、
「年齢だけでなく、担当する薬の領域でも回数に差があった。
がんや専門性の高い領域の担当者は1回、
生活習慣病では2回かそれ以上がスタンダードだったようだ」と前出のB氏は話す。

武田は、ビジネスユニットの中でも、これから市場の成長が見込める、
がんや希少疾患など専門性の高い領域を強化していく方針を打ち出している。

コロナ禍でMR淘汰は加速

「MRが活動していないのに売り上げが変わらないことに
業を煮やしたクリストフ・ウェバー社長自身がリストラを断行したようだ」

活動は激減したのに、薬の売り上げはほとんど影響を受けなかったのだ。
「“不要論”はともかく、これまでも“過剰論”は根強かった。
コロナ禍では、それが正しい仮説なのだと図らずも証明されてしまった」。

製薬業界OBは「製薬は、横並び志向が強い業界。
何においても変わる時は武田が最初、
武田が動けばほかも動きやすくなる、という雰囲気がある」と指摘する。

製薬に携わる多くの関係者は、
「コロナ禍で製薬会社の経営陣はついに気がついたはず。
来年以降、営業体制に大ナタを振るう動きが慌ただしくなるだろう」と予想する。
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