グロリオサの誤食でコルヒチン中毒に

グロリオサの誤食でコルヒチン中毒に
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園芸植物として市販されているユリ科グロリオサは、
コルヒチンを含有しているため、球根の誤食により
コルヒチン中毒を生じることがあるが、報告数は多くない。
鹿児島市立病院救命救急センターの稲葉大地氏は、
グロリオサの球根を誤食し死亡した症例について
第42回日本中毒学会(9月7〜20日、ウェブ開催)で報告した。

入院3日目に死亡

稲葉氏が報告した症例は84歳の男性。
自宅庭の手入れ中に採取したグロリオサの球根を、
近くで栽培していた山芋と誤り摂取したところ、
同日夕方から心窩部痛や嘔吐、下痢を呈して近医を受診し、
翌日同院に搬送となった(搬送時、グロリオサ誤食は聴取できず)。
体温は38.6℃と高かったが、意識清明で心拍数、
血圧などは正常、心音、呼吸音なども問題なかった。

入院2日目に高熱、頻呼吸、午後には腹痛の増悪、頻回な下痢、頻脈が見られ、
末梢冷感著明で低血糖代謝性アシドーシスが認められたため、救急科へ転科。
転科時の血液生化学検査では、血小板が129×103/μLと低下、
クレアチニンが2.96mg/dLと急激に悪化し、肝機能障害も来院時より悪化
多臓器不全が進行し、入院後3日目に死亡した。

死亡後に家族聴取で誤食が判明

死亡確認後に、家族への聴取によりグロリオサ球根誤食が判明した。
自宅庭で球根を採取し、苦味や臭みがあったが
ウコンのような健康食品と勘違いして全量摂取したという。
妻も摂取したが、苦味・臭みが非常に強く直後に吐き出し、食中毒症状は全くなかった。

保健所の調査により、今回の症例は
①畑で山芋やウコンも栽培しておりグロリオサと山芋の栽培場所は近接
②畑の球根2つのコルヒチン含有量は1.6g/kg、2.2g/kg
③患者検体のコルヒチン濃度は尿中970ng/mL(入院2日目)、
血清中10.3ng/mL(2日目)、4.2ng/mL(3日目)−などが明らかになった。

コルヒチン中毒の知識と理解を高める必要

今回の症例は、球根摂取後わずか3日の経過で
消化器症状が先行してその後急速に多臓器不全へ進行し死亡。
尿・血中からコルヒチンが検出された。
稲葉氏は「コルヒチンとしての摂取量は不詳であるが、
致死量以上のグロリオサによるコルヒチン中毒と診断した」と述べた。
コルヒチンの致死量は0.5mg/kgとされ、
0.8mg/kg以上ではほとんどが死亡する。
コルヒチン中毒に有効な特異的治療はなく、対症療法が主となる。

厚生労働省によると、
国内でのグロリオサが原因の食中毒は今回の症例が3例目で、報告は非常にまれだという。
同氏は「本症例は、グロリオサ誤食の聴取ができず、中毒として治療できなかった。
グロリオサは販売規制がなく容易に入手できるが、
誤食すると致死的にもなり、初期症状は非特異的である」と指摘。
厚労省も注意喚起しているが、一般市民に対するグロリオサ誤食予防の啓発、
医療従事者のコルヒチン中毒に関する知識と理解を高める必要がある」と述べた。

グロリオサとは
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-323