マグネシウム製剤、重篤例で再び「適正使用」

マグネシウム製剤、重篤例で再び「適正使用」
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医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、
「酸化マグネシウム(Mg)製剤の使用により高Mg血症を発症し、
重篤転帰をたどる症例が報告されている」として、
同製剤の製造販売会社の「適正使用に関するお願い」をPMDAの公式サイトに掲出。
高Mg血症の発症予防および早期発見に向け、高リスク例や症状の特徴を挙げて注意を喚起した。
なお、同製剤に関する注意喚起は2015年に続いて2回目となる。

2008年に高Mg血症に関する記載が追加

酸化Mg製剤は、
日本では1950年から便秘薬や制酸薬として長く使用されており、
年間推計使用者数は約4,500万人に上る。

近年、同製剤使用との因果関係が否定できない高Mg血症例が報告されたことを受け、
2008年に添付文書の使用上の注意に「重要な基本的注意」および
「重大な副作用」の項が設けられ、高Mg血症に関する記載が追加された
厚生労働省「医薬品・医療機器等 安全性情報No.252」)。

2015年の添付文書改訂では「慎重投与」の対象に高齢者が追加され、
「重要な基本的注意」の高Mg血症に関する項目には
「必要最小限の使用にとどめる」
「症状が現れた場合には医療機関を受診する」が追加された。
また、製造販売会社各社が連名で
第1回目の「適正使用に関するお願い」を発表するなど注意喚起が強化された。
(関連記事「便秘薬使用に伴う高Mg血症で3年に死亡4例」)

しかし、その後も酸化Mg製剤使用により
死亡などの重篤転帰をたどる症例が報告されたことから、
あらためて適正使用を呼びかける運びとなった。

長期服用を避け、高リスク例では定期的なMgモニタリングを

今回の「適正使用に関するお願い」では、
酸化Mg製剤使用による高Mg血症発症の高リスク例の特徴として、
①長期服用
②腎障害
③高齢
④便秘症−を挙げ、
定期的なMgのモニタリングを推奨している。
また、漫然とした処方を避けて使用は必要最小限にとどめる、
高Mg血症の症状が現れた場合は服用をやめて
医療機関を受診するよう患者指導を行うことを呼びかけている。

さらに血清Mg濃度ごとの臨床症状として以下の点に注意し、
出現時は適切な処置を講じることとしている。
●4.9mg/dL以上:悪心・嘔吐、皮膚潮紅、全身倦怠感、腱反射の減弱など
●6.1〜12.2mg/dL:心電図異常(PR/QT延長)など
●9.7mg/dL以上:腱反射消失、嚥下障害、房室ブロック、低血圧など
●18.2mg/dL以上:昏睡、呼吸筋麻痺、血圧低下、心停止など