悪玉コレステロール 食事と運動のどちらで下がる?

悪玉コレステロール 食事と運動のどちらで下がる?
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO55168760T00C20A2000000?channel=DF140920160927


【問題】
LDLコレステロール(悪玉コレステロール
を減らすのに効果が期待できるのは、
「食事の見直し」と「運動の実践」のどちらでしょうか。

(1)食事の見直し
(2)運動の実践
(3)いずれも効果が期待できない

正解は、(1)食事の見直し です。

コレステロール対策は、一筋縄でいくものではありません。
なぜなら、コレステロールは人間の体にとって必要な成分で、
体内に再生産する仕組みが備わっており、体の中に残りやすいのです。
そして、コレステロールはエネルギーにならないため、
中性脂肪と違って、運動しても単純に減るわけではありません。


では、悪玉のLDLが高い人はどんな対策をすればいいのでしょうか。


寺本民生さんは、
悪玉のLDLコレステロールが高い人は、運動に励むだけでは効き目が薄いと話します。
いくら運動しても、コレステロールは体内で分解することができないためです。


「LDLコレステロールが高いタイプの人に効くのは運動より食事の見直しです。
『LDL受容体』の働きが良くなるような食材を選ぶことが大切です」
と寺本さんは話します。

悪玉コレステロールを下がりにくくする食材とは?

LDL受容体の作用を邪魔するもの
それが動物性脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」です。

飽和脂肪酸には、LDL受容体の合成を抑え込む性質があります」と寺本さん。

LDL受容体が、LDLコレステロールと合わないように邪魔してしまうのです。
そのため、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪をたくさん食べれば、
血液中のLDLコレステロールが過剰になり、動脈硬化が進みやすくなります。


動物性脂肪を多く含む食材は、
牛肉、豚肉などの「肉」が代表ですが、それ以外にも
バターやチーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品などがあります。


LDLコレステロールが高い人の場合、
鶏卵や魚卵、レバーなどに代表されるコレステロールが豊富な食材も控えることも必要です。
2015年に「日本人の食事摂取基準」が改訂されて以来、
コレステロールはたくさん食べても大丈夫」という説が一部で広まっていますが、
これは誤解を招く情報です。


「食品として摂取するコレステロールは、
動物性脂肪ほどには、LDLコレステロールを上げない」ということであって、
すでにLDLコレステロールが高い人もたくさんとっていいという意味ではありません。
実際、日本動脈硬化学会「脂質異常症診療ガイド2018年版」でも、
LDLコレステロール値が高い「高LDLコレステロール血症」の人は、
1日200mg未満を目指すよう推奨しています。


つまり、悪玉コレステロールを減らす対策の第1優先は
飽和脂肪酸のとり過ぎを控えること、
そして第2が食事由来のコレステロールの摂取を控えること、
と考えればいいでしょう。


動物性脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」はLDLコレステロールを上げますが、
同じ脂肪酸の仲間、「不飽和脂肪酸」にはLDLコレステロールを下げるとされるものがあります。
その1つがオメガ3(n-3系飽和脂肪酸)に分類される
EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)です。
サバやイワシ、サンマなどの青魚に豊富な成分で、
動脈硬化を進みにくくすることで知られています。


なお、「適度な運動が体にいい」ことは広く知られています。
食事面の改善だけでなく、日々の運動も併せて実践してください。
善玉のコレステロールであるHDLコレステロールを上げるには、
食事より、運動の方が効果を期待できます。