オイシックス、会員倍増

オイシックス、「買わない」を分析
独自の食材購買リスト武器 好み把握、会員倍増
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50718700X01C19A0TJ2000/
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生鮮食品宅配のオイシックス・ラ・大地が快走している。
主力の「オイシックス」会員数は3年で倍増し、
2019年3月期に増収記録を18期連続に伸ばした。
好調の原動力は会員ごとの嗜好に応じて提案する食材リストだ。
買い物カゴから商品を外す「カゴ落ち」行為を分析し、
アマゾンや楽天も簡単にはまねできないデータを収集する。

世田谷のマンションに荷物が届いた。
野菜など15品目が入ったオイシックスの食材セットだ。
結婚を機に約1年前に会員になったという女性(25)は
「きょうはトロなすと肉味噌を合わせてみようかな」と上機嫌。
段ボールからレシピを取り出し、慣れた手つきで調理に着手した。
「スーパーには並ばない珍しい野菜と出合える」のが魅力で、
毎月約2万円を支払っているという。

主力のオイシックスでは6月の会員数は22万人と、1年前から25%増えた。
19年3月期の連結売上高は640億円で18年連続の増収。
営業利益も2期連続で最高を更新した。

特徴は顧客とあらかじめ契約を結び、
食材を定期的に届けるサブスクリプション型のビジネスモデルだ。
約5000軒の生産者と契約して有機野菜などを調達。
会員ごとに「定期ボックス」と呼ぶ買い物リストを毎週更新する。

リストにはあらかじめ野菜や果物などの生鮮食品のほか、
レシピと具材を組み合わせた「ミールキット」など約15種類が入っている。
会員は好き嫌いや、既に自宅にある食材などを考えて取捨選択。
後日、決められた曜日に宅配便で受け取る。

アマゾンフレッシュの場合、
2万点弱ある食材の中から必要な商品をゼロから選び、
ウェブ上で買い物カゴを埋める必要がある。
一方でオイラ大地の会員は、
リストの中から不要なものを外し、
欲しい食材と入れ替えればよいため
「注文は数分で終わる」(前出の女性)。

買い物カゴから商品を外す行為を「カゴ落ち」と呼ぶ。
これがオイラ大地の強さの秘密。
会員が「買いたい」と考えた商品だけでなく、
「買わない」と決めた商品を把握できるからだ。

例えば小粒納豆をカゴから外し、
大粒納豆を入れ続けると、その会員には小粒納豆は提案しなくなる。
データ分析などを担当する西井敏恭執行役員
「取捨選択を1年に最大52回繰り返してもらうので、
膨大なデータを集められる」と話す。
使えば使うほど各家庭の食卓に合った商品が提案され、
今では約4500商品から22万人の会員向けに
それぞれ定期ボックスを作り分ける。
好きな食材だけで定期ボックスを固定化せず、
発見があるよう改善し、飽きさせない工夫も欠かさない。

ミールキットの開発にもカゴ落ち分析を使う。
膨大なデータから人気の野菜や子どもが楽しめるメニューを把握。
18年には400種類を取りそろえた。

直接農家と契約しているため、
早ければ1~2週後の発売商品から意見を反映できる。