絶食時間を長くすると食欲が低下

絶食時間を長くすると食欲が低下
https://medical-tribune.co.jp/news/2019/0727520915/


夕食を早い時間に済ませ、
1日の中で食事に費やす時間を制限する
Early Time-Restricted Feeding (eTRF)という減療法。
Louisiana State UniversityのEric Ravussin氏らは、
eTRFは脂肪を燃焼させる作用以上に食欲の低下を推進して
体重の是正に寄与するとのクロスオーバーランダム化比較試験の結果を
Obesity(2019; 27: 1244-1254)に発表した。

絶食時間12時間と18時間で比較検討

Ravussin氏らは、
調整された概日リズムまたは体内時計に基づいた食事の摂取は、
食欲を是正し代謝を改善する有力な戦略と位置付けている。

今回、健康に問題はないが肥満の成人男女11例
(年齢20〜45歳、BMI 25〜35、体重68〜100kg)を対象に、
クロスオーバーランダム化比較試験を実施。

8時に朝食を摂取し20時に夕食を終える対照群
(夕食~朝食の絶食時間12時間)と、

8時に朝食を摂取し14時に夕食を終えるeTRF群
(夕食~朝食の絶食時間18時間)
にランダムに割り付け、
食事摂取のタイミングによる代謝などへの影響を検討した。

なお、両群で食事の内容と摂取量は統一し、
それぞれ4日間3食摂取した後、
3.5~5週間のウオッシュアウト期間を挟んで両群を入れ替えて摂取した。
また、観察期間中は覚醒中の食欲レベルを3時間ごとに評価するとともに、
空腹ホルモンとされるグレリン濃度を朝食および夕食の摂取前に測定。
観察終了後にカロリー、炭水化物、脂肪、蛋白質の消費量を測定した。

eTRF群でグレリン濃度が有意に低下

検討の結果、
1日のエネルギー消費量は対照群とeTRF群で有意差は見られず、
レプチン濃度についても有意差はなかった。

しかし、eTRF群では
グレリン濃度の有意な低下が認められ、
日中の空腹感の振幅が安定していた。
また、有意差はなかったものの、
eTRF群で満腹感が高まる傾向および食欲が低下する傾向が見られた。

さらに、eTRF群では
代謝柔軟性(metabolic flexibility)が有意に向上し、
1日当たりの非蛋白質呼吸商(脂肪燃焼)の有意な増加が確認された。

以上の結果から、Ravussin氏らは
「eTRFはエネルギーの消費量を増やすのではなく、
食欲を低下させることで体重減少を促す」と結論。
その上で、
eTRFは脂肪酸を酸化させて熱産生のためのエネルギー源となり、
脂肪を減少させる可能性があると付言している。