慢性便秘治療、選択の幅広がる

慢性便秘治療、選択の幅広がる 新薬や漢方使いやすく

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO43083370Z20C19A3TCC000?channel=DF130120166089
f:id:sna59717:20190413023649p:plain
f:id:sna59717:20190413023703p:plain


2012年以降に新薬が相次ぎ販売され、
兵庫医大病院の三輪洋人・主任教授は
「治療の選択肢が増え、症状や年齢ごとに
きめ細かく使い分けられるようになった」と説明する。

新薬の一つが、小腸で腸液の分泌を促進させて排便を促す
新しい仕組みのルビプロストン(アミティーザ)。
妊婦には使えないが、長期に服用しても副作用が出にくい特長があり、
高齢者に使いやすい。

さらにここ数年、同じタイプの
リナクロチド(リンゼス)や
エロビキシバット(グーフィス)が加わった。

17年にはオピオイドによる腸の活動低下を改善する
ナルデメジン(スインプロイク)も登場した。

漢方薬も患者の状態に合わせて使いやすくなっている。
横浜市立大学大学院の中島淳・主任教授(肝胆膵消化器病学)は
「近年、漢方薬の作用する仕組みが分子レベルで解明され、
便秘治療の有力な手段となっている」と話す。

中でも「潤腸湯」は便を軟らかくし、
適度に腸を刺激して便秘を改善させる。
作用が穏やかで軽症から中等度の高齢患者に適する。
「桂枝加芍薬大黄湯」は腹部の張りなど
便秘の周辺症状の改善に使うという。

食事・運動療法

大間知クリニック(東大阪市
大間知祥孝院長によると、食事療法は
(1)1日3食、規則正しく取る
(2)水分摂取を増やす
(3)キノコ類、海藻類、果物、
こんにゃくなどの水溶性食物繊維が多い食品、ヨーグルト、
納豆などの発酵食品をしっかり取る――ことがポイントだ。

運動療法としては
1日約20分の速歩やジョギングを継続するほか、
腹筋を鍛えたり腸をマッサージして刺激したりする「便秘体操」が効く。

このほか朝食後は便意がなくてもトイレに行くことや、
特に便が肛門付近で滞る直腸型便秘症の場合は
便座で前かがみとなって、直腸と肛門を一直線にするよう勧めている。

60歳未満は女性患者多く 男性も加齢で増加

「慢性便秘症診療ガイドライン」は、便秘の定義を
「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とした。
当たり前のようだが、排便回数だけでなく、
「排便時に強くいきむ」
「残便感がある」など
排便に満足できない状態も幅広く含めるようになった。

兵庫医大病院の三輪主任教授は
「便秘が続くと、食欲不振や腹痛、不眠、肥満など体調不良を引き起こす。
脳梗塞のリスクを高めるとの研究もある」と指摘する。

さらに「たびたび慢性便秘に陥ると重症化して完治が難しくなる」として、
「『たかが便秘』と受診せず、自己流の対策で悪化させるケースも少なくない。
早めの受診が大切」とアドバイスする。