高血圧の定義を130/80に厳格化

高血圧の定義を130/80に厳格化
AHA/ACC高血圧GL改訂
https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1116511646/?utm_source=mail&utm_medium=recent&utm_campaign=mailmag171117&mi=00128000005wKfsAAE&fl=1


米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)は、
2003年に公表された米国高血圧合同委員会第7次報告(JNC-7)
の改訂版となる高血圧の予防、検出、評価、管理のためのガイドライン
(以下、新GL)を米国心臓協会学術集会(AHA 2017、11月11〜15日)で発表した。
これまでJNC-7では140/90mmHg以上を高血圧と定義していたが、
新GLでは130/80mmHg以上に引き下げられた。
これにより、米国で高血圧と診断される成人が14%増加するが、
そのうち降圧治療が必要な患者は約5分の1であるという。
ガイドライン全文はHypertension(2017年11月13日オンライン版)に掲載された。


"Prehypertension"の分類を"Elevated"に変更

新GLでは、
従来の定義による高血圧(140/90mmHg以上)はステージ2の高血圧に分類される。
前高血圧(Prehypertension)の分類はなくなり、
収縮期血圧(SBP)120〜129mmHgかつ拡張期血圧(DBP)80mmHg未満
の血圧分類に"Elevated"の用語が採用された(表)。


表.新GLの血圧分類



新GLでは、診断には正確な血圧測定が不可欠であるとして、
2機会2回以上の測定の平均値を使用するよう推奨している。
また、白衣高血圧や仮面高血圧を検出するための補助手段として、
24時間自由行動下血圧測定(ABPM)と家庭血圧測定(HBPM)にも言及している。


ライフスタイルの変更による早期管理を重視

新たな高血圧の定義に従うと、
米国における高血圧の有病率は従来の32%から46%に上昇するが、
大部分には非薬物療法が推奨されるという。
新GLでは、ライフスタイルの変更などの非薬物療法による、
より早期からの管理の重要性を強調しており、
「体重の減少、健康的な食事
(DASH食、食塩摂取量の減少、カリウム摂取量の増加など)、
身体活動の増加、飲酒量の減少が最も重要である」としている。


ステージ1の高血圧に対しては、
「血圧に加えて、今後10年間の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスクを
"ASCVD Risk Calculator"で算出し、
リスクが10%を超える場合または併存疾患(心血管疾患、糖尿病、慢性腎臓病)
がある場合のみ降圧薬を処方する。リスクが10%未満の場合は、
まずライフスタイルの変更を推奨し3〜6カ月後に再評価する」としている。


GL改訂の基礎にSPRINT試験

薬物療法に関しては、
第一選択薬としてサイアザイド系利尿薬、カルシウム拮抗薬、
ACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を推奨し、
「高血圧患者の大部分では複数の降圧薬を併用する必要があり、
特定の組み合わせの有効性が示されている」としている。


また、「1つ以上の併存疾患を有する患者、妊婦を含む女性、高齢者、
小児では高血圧管理の内容を調節するよう配慮すべきであり、
人種/民族による差も考慮すべきである」との見解を示している。