ワインは即時撤廃

日欧EPA、自動車・小売りに恩恵 生活はこう変わる
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H5Y_W7A700C1EE8000/



経済連携協定(EPA)が大枠合意に達したことで、
日本からの輸出品にEUがかける関税は最終的に全体の99%の品目でなくなり、
自動車などの輸出戦略に追い風になる。
国内の小売店ではEU産のワインやチーズが安くなり、
消費者がより手軽に手に入れる機会が増えそうだ。
強力なブランド力を持つ欧州製品の攻勢への警戒感も漂う。

食卓の選択肢広がる

ブランド力のある欧州産ワインを安く買えるようになれば、
市場が盛り上がりそうだ。
過去にはチリ産ワインがEPA発効を機に日本でシェアを伸ばし、
スパークリングを除くボトルワイン輸入量で2015年に仏産を追い抜き首位になった。


ワイン店で知名度が高いエノテカの親会社、
アサヒビールの平野伸一社長も「欧州産ワインが買いやすくなれば、
市場の裾野を広げるだろう」と期待を示す。


欧州産ワインの関税はボトル当たり93円程度だが、
大量に輸入する業者にとって大きなコストだった。
関税撤廃によって特に“家飲み”向けのお手ごろ価格のワインは、
輸入者の負担が目に見えて減るだけに流通量が増えそうだ。
イオンの岡崎双一執行役は「ワインやチーズはイオンの重点商品だ」と明かす。


レストランの食材調達もコストが下がる。
イタリア料理店「サイゼリヤ」をチェーン展開するサイゼリヤは、
イタリア産のチーズやパスタなどを調達。
担当者は「主力商品の品質を高めたり、価格を下げたりすることができる」と期待する。

自動車輸出戦略に幅

交渉で最大の争点の一つとなったのが日本産の自動車・自動車部品への関税の撤廃だ。
トヨタ自動車はEU向けの大半は現地生産で、
16年は日本からEUに約14万5千台を輸出した。
日本自動車工業会の西川広人会長(日産自動車社長)は6日、
「EPAを生かして顧客ニーズに合った商品を幅広く提供する」とコメントした。


自動車部品はTPPや韓国とEUの自由貿易協定(FTA)を
上回る水準での関税撤廃で合意した。
例えばタイヤではEUがかける4.5%の関税が撤廃される。
横浜ゴムの山石昌孝社長は
「欧州にはタイヤ工場を持っておらず、関税撤廃はプラスだ」と話す。


自動車メーカーは高付加価値の部品などを日本から輸入しやすくなる面もあり、
サプライチェーンの幅は広がりそうだ。


欧州では既にEU向けの自動車関連の関税がゼロになっている韓国勢との競争が激しい。
日本車にかかる10%の関税がゼロになるには協定発効までの期間を含めて
あと10年近くかかる。一方、自動車部品の関税はほとんどが即時撤廃されるため、
EUでの現地生産のコストが短期的には下がる可能性がある。


ただ日本メーカーがEUで生産する約148万台のうち、半分程度は英国だ。
日欧EPAのメリットをどこまで受けられるかは不透明だ。