東南アジア、喫煙規制強化

東南アジア、喫煙規制強化 シンガポールやフィリピン
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17HA5_02052017MM0000/


東南アジアが喫煙規制を強化している。
シンガポールが喫煙の年齢制限を21歳以上に引き上げるほか、
フィリピンでは公共の場での喫煙禁止を全国に広げる検討が進む。
東南アジアはこれまで喫煙者に比較的寛容だったが、
近年は喫煙が一因とされる疾患が増え、
医療費増大や受動喫煙の影響への懸念が高まっている。


シンガポールは喫煙の合法年齢を18歳以上から21歳以上に引き上げる。
1年以内に国会で審議にかけ、数年以内に導入する。
8月からはたばこの店頭陳列も禁止する。
同国政府は「スモークフリー国家」を目指しており、
テレビなどでのたばこ広告は違法だ。


フィリピンではドゥテルテ大統領が近く、
同国全土で公共の場での喫煙を禁止する大統領令に署名する見通しだ。
専用の喫煙室内を除き、路上や飲食店、公共交通機関などでの喫煙を禁止する。
違反者には罰金を科す。
ドゥテルテ氏は大統領就任前に市長を務めた南部ダバオ市でも
公共の場を禁煙とする施策を導入。喫煙者が減るなどの成果を上げた実績がある。


タイでは7月から、喫煙年齢を18歳から20歳に引き上げる新たばこ法が施行される。
05年には他国に先駆けてたばこの店頭陳列を禁止した。


マレーシア政府も2月、喫煙禁止エリアを公園などに広げた。
現在18歳の喫煙合法年齢を21歳に引き上げることも検討中だ。


世界保健機関(WHO)によると、
15歳以上の男性の喫煙率はインドネシアで76%、
マレーシアとフィリピンで43%にのぼる。
東南アジア諸国連合ASEAN)10カ国中7カ国が日本(34%)を上回る。


各国政府が禁煙政策を進める背景には、
医療費の増加が財政を圧迫するとの懸念がある。
たばこが一因とされる心臓疾患による死亡者は
2000年から2015年にかけてインドネシアで3倍弱、フィリピンで2倍弱に増えた。


東南アジアではシンガポールやタイは原則、
空港の喫煙室やカジノなど一部を除き屋内施設での喫煙を違法としている。
こうした国からの訪日客に配慮した環境整備が求められている。