肺MAC症

肺の病気 総力特集「肺MAC症」
http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/archives/2017/02/0214.html

MAC症とは





MAC症は、
MAC菌という、結核菌によく似た菌の感染によって起こる肺の病気です。
最近、CT検査や遺伝子検査の普及により、
発病している人が多いことがわかってきました。
日本では際立って増えており、
MAC症でなくなる人は年間1000人以上と推測されます。
急増している原因として風呂場での感染増加が考えられています。
MAC菌は、42℃前後の温度で繁殖しやすいため、
気密性の高い風呂場が最適な環境なのです。
MAC菌は、土や水の中のほか、
浴槽のお湯の注ぎ口やシャワーヘッドのぬめりや湯あかにいます。
そうした場で、しぶきや霧状の水滴、土ぼこりが発生し、
その中のMAC菌を肺に吸い込むと感染すると考えられています。

MAC症の症状





MAC菌は、結核菌と比べて病原性が弱いため、
感染後は症状のない状態がしばらく続きます。
肺の炎症が進むと、せきやたん、血の混じったたんなどの症状が現れます。
ただし、結核と違い人から人へ感染することはありません。
進行すると、一時的な発熱や全身のだるさ、
食欲低下による体重減少などが起こってきます。
さらに進むと、自力で十分呼吸をするのが難しくなって酸素療法が必要になり、
呼吸困難で危険な状態に陥ることがあります。
MAC症は、こうした症状が10年以上かけてゆっくりと進行していきます。

MAC症 なりやすさチェック





当てはまる項目が多いほど、肺MAC症になりやすいと考えられます。
MAC症と診断された患者さんの多くにみられるのが、
40歳以上の女性で、きまじめな性格、ストレスを感じやすい、
小食、やせ形、胃の働きがあまりよくないといった特徴です。
その理由として、まめに風呂掃除をすることが多い、
免疫の働きがあまりよくないことが推測されています。
こうした特徴を持つ人が、換気せずに風呂場を掃除する、
汚れたシャワーヘッドを使用する、土をよくいじるなど、
感染しやすい習慣や行動をとることで肺MAC症に感染しやすいと考えられています。

MAC症の治療




基本は抗菌薬で、
クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの3種類の薬を服用します。
中等度や重度の場合は、のみ薬のほかに抗菌薬の注射を2か月ほど行うことがあります。
患者さんの70%以上は1か月ほどで症状が治まり、
約30%は再発や再感染が起こります。
そのため、2〜4年間程度は薬をのみ続ける必要があります。
肺に空洞ができている場合は薬が効きにくいため、
その部分を切除する手術を検討します。
また気管支が拡張するタイプでも、
MAC菌の増殖が止まらない場合は手術を検討することがあります。

MAC症の予防対策




MAC菌に感染するケースの多くは風呂場と考えられています。
感染予防のために、風呂掃除の際は換気をして、
水しぶきが立たないように洗面器などに水をくんで洗い流します。
市販されている、微粒子を防ぎやすいN95マスクを使う方法もあります。
ぬめりや湯あかを除去し、お湯の注ぎ口やシャワーヘッドもしっかり掃除します。


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