保湿剤の効果的な使い方

保湿剤の効果的な使い方
東京逓信病院薬剤部・大谷道輝氏に聞く
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/feature/f161201/201612/549309.html



保湿剤は作用機序から、
皮膚を覆うことで皮表に油脂膜を作り体内からの水分蒸発を防ぐ「エモリエント」と、
天然保湿成分(natural moisturing factor;NMF)など
水分保持作用を持つヒューメクタントを含み、
NMFを補う作用のある「モイスチャライザー」に分類される。


エモリエントの代表がワセリン、
モイスチャライザーが尿素製剤(ウレパール)や
ヘパリン類似物質含有製剤(ヒルドイド)だ。


これらについて保湿効果の指標となる電導度を調べた結果、
ワセリンに比べてモイスチャライザーの方が保湿効果は有意に高かった。



小児では両者に差はないとする意見もあるが、
少なくともNMFが減少している高齢者などでは、
モイスチャライザーを用いることは理にかなっている。


また、保湿剤には軟膏、クリーム、ローションの3つの剤形があり、
一般的にはクリームが最も皮膚透透過性に優れるとされる
ヒルドイドソフト軟膏やザーネ軟膏などは、商品名は「軟膏」でも
剤形はクリームである点に注意が必要)。


ただし、角層除去皮膚ではローションの方がクリームに比べて透過性に優れ、
正常皮膚ではその逆だったとの研究結果もある。
ローションは伸びがよいため、患者が至適だと思って塗る量が、
クリームより4割少ないとのデータもある。
ローションは必ずしもクリームに劣るわけではないことを念頭に、
季節や使用部位などに応じて選択するといいだろう。


ただし、ヒルドイドローションには還元ラノリンが、
ヒルドイドクリームにはラノリンアルコールが、それぞれ含まれている。
ヒルドイドソフト軟膏からこれらに切り替えた際、
中にはかぶれる人もいるので注意したい。