長引く便秘

長引く便秘 侮るなかれ
腸閉塞・大腸がんリスク 下剤使いすぎNG
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10265930T01C16A2TZQ000/



「たかが便秘されど便秘。侮ってはいけない」。
1995年に日本で初めての便秘外来を開いた順天堂大学の小林弘幸教授は警鐘を鳴らす。


便秘は水分が減って便が硬くなり、大腸に長くとどまる状態をいう。
排便の回数が週に2回以下しかないと便秘と呼ぶことが多い。
小林教授は3日続けて排便がないと便秘と判断している。


便秘のうち最も多いのが、
何らかの原因で腸や腸管がうまく機能せず、便秘になる「機能性便秘」だ。
腸を検査しても特段の異常は見つからないのに、つらい便秘の症状が続く。


機能性便秘の7割を占めるのが、
大腸の働きが悪化して便秘になる「ぜん動不全型」だ。
通常、腸は筋肉を収縮させてたまった便を肛門まで運ぶ。
腸の機能が下がると便があちこちにとどまり、排せつされない。
このタイプは高齢者によくみられる。


逆に若い女性などに多いのは、
便が直腸まで届いているのに排せつできない「直腸・肛門型」だ。
通常は直腸がセンサーとなって便がたまったことを検知し、その信号を脳に伝える。
だが「繰り返し我慢すると信号が弱くなり、便意を感じづらくなる」(小林教授)という。


便秘になるきっかけは様々だ。
筑波大学付属病院の溝上裕士・病院教授は
「生活のリズムなどが変わると便秘になることがある」と指摘する。
旅行や入学、失恋などの環境の変化で精神的なストレスが増し、便秘になる。
差はあるが、自律神経のバランスが悪化し、腸の機能低下を招く。


食習慣や生活習慣の乱れも原因になる。
野菜などで食物繊維を十分にとらないと便のかさが増えず、大腸を刺激しづらい。
溝上教授は「朝食をとらないと便秘になりやすい」と話す。
食事の時間帯がバラバラなのも要注意だ。
睡眠時間が短かい人、運動習慣がない人も腸の働きが悪くなり、便秘になりやすい。


医師はまず生活習慣の改善を指導し、症状がひどいと薬を出す。
治療薬は酸化マグネシウムが一般的。
約4年前に発売された慢性便秘症治療薬「アミティーザ」は副作用が少ないとされるが、
価格が高い。