JR九州

九州旅客鉄道 「不動産」が収益けん引
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO08332580T11C16A0DTA001/



九州旅客鉄道JR九州)が25日、株式を上場する。
地方路線の成長は見込みにくく、
不動産など鉄道以外の事業が売上高の6割を占めるのが特徴だ。


鉄道事業は2016年3月期の輸送人員が4%近く伸びたが、先行きは楽観できない。
不採算の固定資産について5200億円超の減損処理に踏み切った。
17年3月期は減価償却費が軽くなり、
部門の営業損益は226億円の黒字(前期は115億円の赤字)に転換する見通し。
来期以降、老朽化した車両の更新や安全投資がかさむ。利益水準の維持が課題だ。


収益の柱と期待される九州新幹線は熊本│鹿児島間で乗客の伸び悩みが続く。
豪華寝台列車ななつ星in九州」などで観光需要の掘り起こしが焦点になる。


3社との差を縮めるには、非鉄道事業の伸びがカギを握る。
非鉄道事業の売上高比率は、JR4社で唯一5割を超える。
「将来的に7割まで伸ばせる」(青柳社長)


特に不動産事業の売上高は643億円と、5年間で5割近く増えた。
部門の営業利益率は3割と、流通・外食の3%などを大きく上回る。
九州で旧国鉄から引き継いだ土地を再開発し投資額を抑えている面はあるが、
東京・新橋では第一ホテルの近隣に
NTT都市開発と組んで地上27階建ての複合ビルを開発。
19年をめどに上層階でホテルを開業する計画だ。アジアへの進出も目指す。


上場時は国土交通省所管の独立行政法人
鉄道建設・運輸施設整備支援機構横浜市)が保有する全ての株式を売り出すのみ。
公募増資はしない。
経営の自由度を高め、多額の資金が必要な不動産開発に弾みを付ける。


市場では収益構造に照らすと
「比較対象はJR・私鉄各社より不動産大手が近い」
楽天証券経済研究所の土信田雅之氏)との見方がある。
売り出し価格に基づく予想PER(株価収益率)は10倍程度と、
不動産や運輸セクターの中では比較的割安な部類に入る。
配当性向は3割を目指す。買い手は個人投資家が中心になる見込み。


時価総額が4000億円強だと、東証1部では260位前後に入る。
中長期運用の年金基金などが組み入れるかが株価を左右しそうだ。