足白癬と爪白癬の治療

足・爪白癬の慢性化と感染拡大に歯止めを
足白癬と爪白癬の治療
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足白癬から爪白癬への感染拡大は,
爪甲肥厚を来し疼痛が出現すると靴が履けない,
歩行が難しくなると,日常生活動作(ADL)が低下するリスクが高まる。
感染拡大を防止するための注意点や薬物治療について,
金沢医科大学皮膚科学講座教授の望月隆氏,
揖斐厚生病院皮膚科部長の藤広満智子の両氏に聞いた。


小水疱型や趾間型の足白癬であれば,
外用抗真菌薬を趾間から足裏全体に塗布し,これを約1カ月間以上継続する。
「感染源を断つには,外用薬を塗り残さないこと。
寝たきり高齢者でも週1回の外用抗真菌薬の塗布で,
菌の散布が抑制できることが知られている」(望月氏)。


真菌層に外用抗真菌薬が浸透しにくい角質増殖型については,
経口抗真菌薬(イトラコナゾール,テルビナフィン)を用いる。
服用期間は通常2カ月程度だが,
爪白癬を合併している患者では,さらに治療期間を要することがある。
イトラコナゾールは薬物相互作用が多いため,投与する際は他の処方薬の確認が必要だ。


角質層から剝離した鱗屑は白癬菌を大量に含み,
爪白癬などの二次感染や周囲への感染拡大を招く原因となる。


爪白癬に適応がある経口抗真菌薬は,イトラコナゾールとテルビナフィンである(表2)。
いずれもケラチンとの親和性が高く,成分が爪床から爪甲に移行して抗真菌作用を発揮する。


投与方法は2剤で異なる。
イトラコナゾール(イトリゾール)は,まず400mg/日を1週間投与し,
その後3週間休薬するサイクルを3サイクル繰り返すパルス療法である。
同薬は,併用禁忌や併用注意の薬剤が多数ある他,
空腹時や胃酸分泌の少ない症例では吸収が障害されるため注意を要する。


テルビナフィン(ラミシール)は125mg/日を6カ月間投与する。
投与前と開始から2カ月間は月1回の血液検査を行い,
副作用である肝機能障害や血液障害をチェックする。
高齢者では,副作用の発現や状態を見ながら慎重に投与するが,
同氏は「薬物相互作用や内服方法を鑑みると,
より年齢が高い患者ではテルビナフィンの方が投与しやすいだろう」と述べた。


爪白癬への適応を取得したエフィナコナゾールとルリコナゾールは,
外用薬でありながら白癬菌が集積する爪実質から爪床で抗真菌作用を発揮できる。


処方に際しては,両薬剤ともKOH法または培養などにより
爪白癬を確定診断することが前提となる。
塗布は爪と皮膚の境界線部分を含め,罹患爪全体に1日1回,
爪が完全に生え変わるまでの約1年間継続する。


足の爪の伸長は,履物による圧迫などの物理的要因も加わるため,手の爪に比べて遅い。
また,爪の伸長は個人差が大きく,年齢や季節も影響する。