速効性あり、呉茱萸湯から
飯塚病院 漢方診療科 矢野博美先生
http://www.kampo-s.jp/web_magazine/back_number/261/rensai2-261.htm
今回の症例は、医学部3年生の若者です。
顔面が蒼白で頭痛を訴えました。
二日酔いではなく、寝不足によるもののようでしたが、
夏の盛りに、「うすら寒い」「のぼせることはない」「食欲もない」ということでした。
手足は冷たく、脈をみると脈は弱く細いのですが、ピーンとした緊張感がありました。
頭痛でも腹痛でも痛いときには、脈がピーンと張ることが多いようです。
この頭痛は冷えが主体と考えて
ツムラ呉茱萸湯（ごしゅゆとう）エキスをお湯に溶かして飲ませました。
呉茱萸湯は、一般に激マズ（非常にまずい）の薬ですが、この時は
「美味しい」といい（ぴったり合うと漢方薬が美味しいと感じることが多いようです）、
15分後には、頭痛は軽減し、脈のピーンと張った緊張感がなくなり、穏やかになりました。
呉茱萸湯は、激しい頭痛のために嘔吐する場合に効果があるのですが、
速効性があることには、内心驚きました。
その他、頭痛に使う漢方薬としては、
葛根湯（かっこんとう）、桂枝人参湯（けいしにんじんとう）、
柴胡桂枝湯（さいこけいしとう）、五苓散（ごれいさん）が挙げられます。
