TPP輸入関税、農水産品の半数撤廃 オレンジは8年目

TPP輸入関税、農水産品の半数撤廃 オレンジは8年目
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H6I_Y5A001C1MM8000/?dg=1



農林水産省は8日、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、
幅広い農林水産品の関税をTPP発効後に撤廃すると発表した。
輸入関税をかけている834品目のうち、約半数が対象になる。
関税がなくなる農水産品には、オレンジ、トマトソース、銀ザケや牛タンなど
なじみ深い食品も多い。価格が下がる食品が増え消費者に恩恵が及びそうだ。


日本はTPP交渉で、コメや小麦などの「重要5品目」の関税を守り通したが、
それ以外では多くの品目で関税撤廃に応じた。
国内農家は輸入品との競争にさらされる可能性がある。


価格面で影響が大きそうなのがオレンジ。
輸入オレンジはミカン類の国内消費量の約1割を占める。
このうち9割がTPP参加国の米国とオーストラリア産。
今回の大筋合意で4〜11月は6年目に関税を撤廃。
ミカンが最も出回る12〜3月に限り、
7年間は緊急輸入制限措置(セーフガード)を設け、8年目に撤廃する。


都内のスーパーでは豪州産のネーブルオレンジが1個60円前後で並んでいる。
輸入コストが小売価格のほぼ半分を占めるとすれば、
関税の撤廃で4〜7円安くなる計算だ。
国産ミカンはMサイズが1個あたり50円前後。その差は一段と縮まる。


トマト加工品では
ケチャップやソースにかかっている関税が6〜11年目にゼロになる。
たとえば460グラム入りの輸入ケチャップが230円前後で並んでいるが
撤廃後は20円前後安くなりそうだ。


畜産物関連では、牛タンや牛内臓(ハラミなど)は
現在12.8%の関税がかかっているが、
発効時に半減させ、牛タンは11年目に撤廃する。


主な水産品はTPP発効から16年目までに撤廃される見通しだ。
とりわけ食卓に並ぶ機会が多いのは現在、3.5%の関税がかかっている銀ザケだ。
銀ザケの14年の輸入量は約7万8千トン。
このうち参加国のチリ産が9割超を占める。
都内のスーパーの価格は1切れ(80グラム)100円前後。
特売の対象になりやすくなる可能性がある。


輸入食品を仕入れるスーパーなどには関税撤廃への期待感が広がっている。
価格が安い精肉などが流通するようになれば
「消費者が買いやすくなるという点で歓迎」(大手スーパー幹部)
「具体的な調達先の検討など、制度をどう生かしていくかが今後の課題」(外食大手)
との声も上がっている。