エーザイ 5期ぶり営業増益

エーザイの16年3月期、5期ぶり営業増益 抗がん剤など寄与http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLZO8680454014052015DTB000


エーザイの収益が持ち直す。
14日、2016年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が
前期比62%増の460億円になる見通しだと発表した。
主力薬の米国特許切れで苦戦が続いていたが、
抗がん剤など新薬の寄与で5期ぶりに増益となる。
ただ経費圧縮の効果も大きい。
開発中の次世代認知症治療薬への期待から株価は急騰しており、
市場評価をつなぎ留めるには業績の本格回復が欠かせない。


「米国で4つ新薬がそろった」。
内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は業績回復に自信を示した。
今期は抗がん剤「ハラヴェン」の売上高を33%増の470億円、
てんかん剤「ファイコンパ」は2.3倍の100億円と見込む。
2月発売の別の抗がん剤を加えた4製品を「重点的に営業する」(同)。


同社は主力の「アリセプト」の米国特許が10年に、
抗潰瘍薬「アシフェックス」が13年に切れた。
後発薬にシェアを奪われ、前期の連結売上高は前の期比9%減り、
10年3月期の7割弱の水準に落ち込んだ。


この2製品は今期も減収となるが、新薬が穴埋めする。
連結売上高は前期比1%増の5565億円に転じる見通しだ。


ただ今期に大幅な営業増益となるのは、
研究開発費と販売費・一般管理費の合計で約120億円削る効果が大きい。
純利益は前期に税負担が減った反動から、38%減の270億円となる。


この結果、配当性向は約160%と利益を上回る配当を払う計算になる。
同社は年150円の配当を維持する方針を掲げているが、
財務の健全性を高めるには早期に配当額に見合った収益規模に戻す必要がある。


株式市場は先行きの利益成長まで織り込んでいる。
共同で開発・販売する権利を持つ米社の次世代認知症治療薬への期待が広がり、
昨年末からの株価上昇率は7割弱に達する。
エーザイは自社でも次世代薬を開発中で、2020年前後に発売する可能性がある。