認知症の治療薬 違いは

認知症の治療薬 違いは
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Q.74歳の妻は
4年前にアルツハイマー認知症と診断されました。
以来、「アリセプト」を1日1回服用しています。
ほかにも認知症の進行を遅らせる薬があると聞きました。
薬の違いを教えてください。(76歳男性)


Answer:やや改善する程度 効能は同じ
須貝佑一 浴風会病院精神科医(東京都杉並区)


認知症の治療薬は「アリセプト」のほかに、
「レミニール」「イクセロン、リバスタッチ」「メマリー」
の3種類が日本でも使えるようになりました。
レミニールとイクセロン、リバスタッチの脳への作用はアリセプトとほぼ同じです。
いずれもアルツハイマー認知症で不足するアセチルコリンという
神経伝達物質を増やす作用があります。


アセチルコリンは脳内で注意力や記憶力を高める作用があり、
いったん衰えた認知機能の回復が期待されるのです。
いずれの薬も、神経細胞の末端で分解酵素の働きを妨害することで、
アセチルコリンを増やします。
妨害の仕方や神経に付着する場所に少しずつ違いがあり、
薬の効き方には個人差があります。


レミニールは1日2回の服用です。
イクセロン、リバスタッチは分子が小さいので、
皮膚から吸収できる貼り薬が使われています。


一方、メマリーは、脳内でグルタミン酸という神経伝達物質
過剰になるのを防ぐことで、脳機能を維持する働きがあります。
神経への作用の仕方が他の薬とは異なるので、これらの薬と併用することもあります。


しかし、アルツハイマー認知症は、βたんぱくやタウたんぱくという
異常な物質が蓄積して神経細胞を死滅させていく進行性の病気です。
いずれの薬も認知機能をやや改善する程度で、
認知症の進行を止めるまでの働きはありません。
(2014年11月23日 読売新聞)