カジノ 沖縄など候補

カジノ 20年までに3ヵ所
政府検討、大阪・沖縄など候補 外国人誘客、日本人には入場料
http://www.nikkei.com/article/DGKDASDF25005_V20C14A7MM8000/



政府は東京五輪を開催する2020年までに全国3カ所前後で、
カジノの開設を認める検討に入った。大阪、沖縄などが候補となる見通しだ。
外国人の入場料は無料とし、誘客効果の大きいカジノをテコに訪日外国人の増加につなげる。


日本人の入場は、数千円程度を徴収するなど制限を加える方向だが、
ギャンブル依存症や治安の悪化などマイナス面への対策が欠かせない。


カジノ解禁を巡っては、自民党日本維新の会など超党派議員連盟
統合型リゾート推進法案(カジノ法案)」を提出し、
秋の臨時国会での成立をめざしている。
一方、依存症対策のほか、治安悪化、資金洗浄をどう防ぐかなど課題もあり、
自民党公明党の中にも慎重論が残っている。


このため政府は今月半ば、内閣官房経済産業省
国土交通省警察庁など省庁横断の約20人の準備組織を立ち上げた。
議員立法の成立後、1年程度かけて、
カジノ運営のルール作りや法整備にあたる中核部隊となる。


政府関係者によれば、カジノ誘致に関心を示している
約20の自治体のうち候補地を3カ所前後に絞る方針だ。
臨海部の人工島「夢洲」を候補地とする大阪市や国際観光拠点を目指す沖縄県のほか、
海外から豪華客船が入港する横浜市も4月に検討会を立ち上げ、有力な候補と目されている。
地域経済や治安への影響を調べたうえで、段階的に増やすことも検討する。


一方、東京は今後、五輪関連施設の整備案件が増える見込みだ。
カジノ整備を進めれば、資材や人件費のさらなる高騰を招く可能性もある。
舛添要一都知事はカジノ誘致に消極的な見方を示しており、
政府が東京をカジノ整備地に指定する可能性は低い。


政府がモデルにするのは、数多くのカジノが乱立するラスベガスやマカオではなく、
ホテルや会議場、ショッピング施設など大型リゾート施設の一角に、
少数のカジノを併設するシンガポールだ。


同国では同時に、外国人のカジノへの入場は無料にする一方、
自国籍の住民からは100シンガポールドル(約8200円)の入場料をとっている。


ギャンブル依存に歯止めをかけるこうした仕組みは、日本でもとり入れる方向だ。
カジノ運営会社が国に払う納付金の一部を依存症対策に使う案もある。


ゴールドマン・サックス証券によると、
東京や大阪、沖縄に4つのカジノ施設をつくった場合に市場規模は1兆5000億円になる。
不動産やゲーム機器会社に加えて、
地域のホテルや小売りなど幅広い産業に経済効果は波及する。
政府は20年までに訪日外国人客を2000万人と
13年に比べて倍増させる目標を掲げている。


日本の刑法が競馬、競輪など公営ギャンブルを除き、
賭博行為を認めていないのは、社会的な弊害が大きいためでもある。
カジノ法案では政府が指定する地域に限り、民設民営のカジノを認める。
法務省などは、治安悪化などの弊害を除去しきれるかどうか懸念しているという。
政府が法案成立後に固める制度設計が重要になる。


カジノでは莫大なお金が動く。
その分だけ反社会的勢力の資金源になったり、
資金洗浄の温床になったりしないように厳しい監視が必要になる。


テロ資金対策などを手掛ける国際機関の金融活動作業部会(FATF)は6月、
日本の資金洗浄への対策が不十分とする異例の声明を出した。
国際基準に沿った不正資金への対策が整うことがカジノ解禁の大前提だ。


議員立法では、治安対策や不正防止の中核組織として、
内閣府に「カジノ管理委員会」を置くことになっている。
100人規模で監視にあたる海外の事例を参考にしたものだが、
カジノに精通した人材をどこからどれだけ集められるのか実効性に不透明な面が残る。


ギャンブルを繰り返す依存症対策も不可欠だ。
日本人に限り入場料をとるのは対策の一つだが、
常習者への心理カウンセリングの充実なども求められる。
日本は賭博をする人のうち1割近くが常習性があり、
2%前後の主要国よりも高いとの調査もある。