糖質制限食

糖質制限食」で血糖安定 糖尿病に効果上げる
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/health/CK2014051302000139.html



カロリー制限が主だった糖尿病患者の食事療法が変わりつつある。
主食のご飯やパン、麺類などの糖質を大幅に減らし、
肉や魚、卵、乳製品などタンパク質と脂質が中心の食事が効果を上げている。


食事で上昇する血糖を薬で抑え込まず、最初から血糖を上げない食事に変える。
ただし、薬物治療中の患者は糖質制限に詳しい医師の指導を受ける必要がある。


体重82キロから50キロ台、空腹時血糖値は200超から80、
グリコヘモグロビン値は10.0から5.1。
2012年秋から、糖質制限をしている愛知県内の女性(46)の一年間の変化だ。


女性はパンが好物で、カップ麺や清涼飲料水も多くとるなど、
糖質の多い食生活を長年続けてきた。
糖尿病の食事療法に力を入れる「きよすクリニック」(愛知県清須市)の
伊藤喜亮院長の指導で、糖質摂取量を大幅に減らして改善させた。


続けられたのは、食事制限に伴うストレスを強く感じなかったからという。
食事の全体量は減らさず、糖質だけ減らせばいいので、
から揚げなど脂肪の多いものも、さほど気にせず食べた。
好きなパンは糖質が少ないふすまパンに変えた。
オリーブ油やバターなどの脂質で、エネルギーを十分補うことがポイント」と伊藤さん。


従来の治療に対し
「血糖が上がる食事を前提にしていることが、理にかなっていない」
と15年以上、糖尿病患者に糖質制限食を指導してきた高雄病院(京都市)理事長の
江部康二(えべこうじ)医師は訴える。


日本糖尿病学会の診療ガイドライン(13年版)は、
推奨するエネルギー量のうち糖質を50%以上、60%を超えない範囲と、
糖尿病食の栄養バランスを指示。
だが、高雄病院は糖質をエネルギー量の約12%に抑える食事療法を実施。
患者に両方の食事を試してもらい、血糖値の変化を測ると、
糖質制限食の方が安定した値を示した。


これまで2000人以上を指導し、食の好みで糖質を断てなかった二割を除く患者らが、
高血糖状態を改善させ、薬を減らせるなど効果があった。
ただ、食が細い人はエネルギー不足や、筋力低下などになりやすい。
これを防ぐため、適度に脂質を取る必要があると、江部さんは指摘する。


◆学会は慎重姿勢
日本糖尿病学会は昨年、糖質制限食への関心の高まりを受けて提言を発表。
長期臨床データの不足を理由に「現時点では勧められない」としながら、
患者の嗜好性や病態に応じて、炭水化物(主に糖質)の摂取比率が
全エネルギーの50%を下回ることもありうると可能性を容認した。


江部さんも長期安全性が確保されていないことを認める。
ただ「糖質制限食は合併症リスクを高める食後高血糖と、
血糖の大きな変動を引き起こさない唯一の食事療法」と強調。
「選択肢の一つとして、患者に説明されるべきだ」と訴える。


欧米の糖尿病学会では、二〇〇〇年代後半から糖質制限食を肯定する動きが広がっている。