ナウゼリン坐剤

乳幼児嘔吐下痢症に併用された坐剤と経口剤
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/di/diquiz/ より一部改変


◆Question

小児科で胃腸炎と診断され、
薬を受け取って帰宅した10カ月の男児のお母さんから電話がありました。


吐き気止めの坐薬を入れたのですが、
お昼ご飯を食べさせたところもどしてしまいました。
先生に「坐薬を使う時は吐き気止めの飲み薬は飲まないように」と言われたのですが
どのくらい経ったら吐き気止めの飲み薬を飲ませていいのでしょうか。


≪処方せん≫
ナウゼリンドライシロップ 1g
ラックビー微粒 1.5g
  分3 毎食前 4日分
ナウゼリン坐剤10 2個 頓用

◆服薬指導

坐薬の効きめが出てくるまでの時間は1時間が目安です。
次に飲み薬を使うタイミングですが、
この坐薬は効果が長持ちしますので、7〜8時間後が目安です。
飲み薬の方は、坐薬と違って効いてくるのが早く、15〜30分程度で効果が出てきます。

◆解説

 ナウゼリンの剤形には経口剤と坐剤があり、急性胃腸炎の治療ではしばしば両剤が併用されるが、嘔吐しているか、吐き気が強い場合はまず坐剤を使用する。ただし坐剤は、経口剤に比べて制吐効果が発現するまでに時間がかかる。成人でのデータによると、坐剤の最高血中濃度到達時間は約2時間である。患児の病態、精神的な要因などが関与するため一概には言えないが、乳幼児でも効果発現までにおよそ30分〜1時間はかかると考えられる。したがって、坐剤挿入後1時間程度は絶飲食を原則とし、吐き気が落ち着いてきたら水分を少量与えることから始める。なお、ナウゼリンドライシロップなどの経口剤では、最高血中濃度到達時間は30分程度(成人データ)であり、食前投与でも効果を発揮する。

 坐剤を使用し、吐き気が治まったら、経口剤に切り替える。しかし、坐剤挿入後、ドライシロップを服用するまでどのくらいの間隔を空けるかについて、明確な根拠のあるデータはない。そこで、坐剤の血中濃度半減期が約7時間であることから、メーカーは再投与までの目安として7〜8時間後を推奨している。また、英国薬剤師会が発行する医薬品集『MARTINDALE』では、ドンペリドンの投与間隔は、4〜8時間と記載されている。

 ナウゼリン坐剤の保管は、室温で可能であるが、冷蔵庫で保管しても薬効の減弱等はない。ただし冷凍保存に関しては、主薬の安定性上は問題ないものの、使用時、室温に戻した際に、変形や割れなどが生じる恐れがあるために控えた方がよい。