抗認知症薬を賢く使い分けるコツ

認知症薬を賢く使い分けるコツ
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kawabata/201310/532883.html



コリンエステラーゼ阻害薬、つまり
ドネペジルやガランタミン(レミニール)、
リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ)は、
患者さんの行動や感情、言動を活発にさせる働きをもつ薬剤群と言えます。


一方、メマンチン(メマリー)は抗認知症薬に属しますが、
どちらかというと抗てんかん薬や抗精神病薬と同じ様に、
患者さんの行動や感情、言動を安定化させる、
あるいはやや抑制する働きを持つ薬剤と位置付けることができます
(もちろん、メマンチンは認知症症状の進行抑制効果を
期待できる抗認知症薬としての役割を忘れてはなりません)。
各薬剤の位置付けを理解できると、コリンエステラーゼ阻害薬と
メマンチンの使い分け方が見えてくるのではないでしょうか。


◆患者さんの状態に応じて治療薬を選ぶ



アルツハイマー認知症と診断し、抗認知症薬の処方を考えるとき、
患者さんを2つのタイプに大別してみることをお勧めします。
つまり、自発性の低下や意欲の減退、無関心が主な症状である
“おとなしいタイプ”と易怒性(怒りっぽい)や
興奮、介護に抵抗するなどが主な症状である“比較的活発なタイプ”に分けると、
認知症薬を選択しやすくなるでしょう。


◆介護する側の事情で治療薬を選ぶ



認知症薬の薬効よりも服薬介助を行う家族や
介護施設の条件を勘案して抗認知症薬を使い分ける考え方もあります。


例えば、家族全員が朝早くから仕事に出かけてしまい、
夕方以降でないと服薬介助ができない事例には、
1日1回の服薬で済む薬剤を処方すべきでしょう。
その場合、1日2回の服薬が必要なガランタミンは選択肢から外れます。


また、身体疾患の治療で既に多数の薬剤を服用しており、
経口薬が増えることを家族が懸念している場合には、貼付薬を選択するのがよいでしょう。
また、家族の都合で毎日服薬介助ができない場合には半減期の長い薬剤を選択すると、
効果減弱が少なくて済むかもしれません。
身体疾患の治療で1日2回の服薬をしている場合には、
同じく1日2回の服薬を要するガランタミンを選択してもよいかもしれません。


錠剤以外の剤形を希望するケースでは、液剤やゼリー剤、細粒など、
家族が希望する剤形を選択するとよいでしょう。
家族は、認知症の進行抑制効果が最も効果が期待できる薬剤を出してほしいと
望んでいるわけですが、それは個々の患者さんによって様々で、
投与してみないと分からない部分もあるため、案外難しいものです。