イオン、全国で大型農場 

イオン、全国で大型農場 PB野菜販売1000億円に
耕作放棄地を活用、15年度までに500ヘクタールに
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF0908U_Q3A810C1MM8000/?dg=1



イオンは全国で大規模な直営農場を展開する。
耕作放棄地などを借りて広い農地を確保、
2015年度に合計で約3倍の500ヘクタールに広げる。
IT(情報技術)やスーパーの配送網を使い生産や物流費を2割抑え、
自社ブランド野菜の販売額を年間約1000億円に引き上げる。
競合するセブン&アイ・ホールディングスも直営農場を増やす。
政府が推進する農地集約を追い風に小売りの農業事業拡大が進みそうだ。


09年に農業に参入したイオンは関東を中心に12カ所で直営農場を展開。
キャベツや白菜など消費量の多い約10品目に絞り込み、
プライベートブランド(PB)野菜として販売している。


15年度までに直営農場を全国30カ所に広げて年間約2万トンの野菜を作る。
耕作面積は平均15ヘクタール前後と一般的な農家に比べ6〜7倍の規模になる。


農業を成長分野に位置付ける政府は都道府県が放棄地を借り上げ、
農業生産法人などに貸し出す新制度を14年度にも導入する考え。


イオンは集約した農地の貸出制度も活用していく方針。
子会社の農業生産法人を通じて農地を確保する。


富士通と共同で農場に観察カメラや土壌分析システムを導入。
栽培時の履歴データを一元的に管理し、
肥料を与える時期を適切に指示するなどして生産性を高める。


イオンは全国に約1500店のスーパーを持つ。
商品を運ぶトラックの配送ルートを工夫して野菜を農場から店舗に直送。
平均で配送時間を1〜1.5日縮めて新鮮な野菜を店頭に並べる。


直営農場とあわせて契約農家も増やす。
15年度に2.5倍の150団体にして調達先を合計2000ヘクタールに広げる。
グループのスーパーで売るPB野菜の比率は4%から20%に高まる見通し。
売上高は年間1000億円規模に達するもようだ。


セブン&アイ傘下のイトーヨーカ堂
直営農場や契約農家を増やしてPB野菜の生産を拡大する。
契約農家に生産を委託する主力のPB野菜は取引先を3年で7500軒と3割広げる。


15年度には全国で約260品目をつくり、
野菜・果物の販売額に占めるPB比率を2割から3割に引き上げる。
ローソンも13年度中に現在9カ所ある直営農場を20カ所に増やす。


農業に参入した法人が借りた農地面積は
5ヘクタール未満のケースが全体の9割を占める。
環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に入った政府は農地の大規模化を促す方針。
企業の資金やノウハウを活用して生産効率を上げる取り組みは、
日本の農業の競争力を高める可能性がある。