乳酸菌の効果的なとり方 食べるタイミングも重要

乳酸菌の効果的なとり方 食べるタイミングも重要
菌の種類で効果は様々
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55418530U3A520C1W13001/



「最近では、肥満型とやせ型の人では腸内細菌の構成が異なるほか、
腸内環境は病気や不調とも密接にかかわることがわかってきた」
理化学研究所イノベーション推進センターの辨野義己氏は解説する。


また、東北大学大学院農学研究科の齋藤忠夫教授は
「腸内細菌のうち、善玉菌といわれる菌はごく一部。
だからこそ食べ物で善玉菌を補う意味がある」と話す。
乳酸菌などが作り出した乳酸が腸を刺激してぜん動運動を促し、
さらに腸の中に水分を呼び込み便の硬さを調節する。


◆内臓脂肪を低減
今年4月に英国の栄養雑誌に発表された研究では、
ガセリ菌SP株という乳酸菌を含むヨーグルトを1日200グラム、12週間食べると、
含まないヨーグルトを食べた場合に比べて内臓脂肪が約8%減少していた。
ガセリ菌SP株は、皮下脂肪の減少効果や、
血中コレステロール低下作用なども報告されている。


食中毒への効果が期待できる菌もある。例えば、ビフィズス菌BB536株
この菌は酸に強く、生きたまま腸に到達する。
この菌が腸内で作り出した殺菌力の強い酢酸などの作用で、
腸管出血性大腸菌O(オー)157の感染を抑える。


インフルエンザの発症予防効果が報告されているのは
1073R―1乳酸菌(R―1乳酸菌)やビフィズス菌BB536株など。


乳酸菌シロタ株では、
ノロウイルス感染性胃腸炎による発熱日数を短くする効果がある。


これらはいずれも、乳酸菌やビフィズス菌
体の中の病原菌を攻撃するNK細胞の働きを活発にさせるためと考えられている。
しかし、とってすぐに効くわけではないため、
風邪がはやる1カ月ほど前からとり始め、流行が収まるまで毎日とるのが大切だ。


乳酸菌やビフィズス菌は、
免疫細胞のバランスを整えるなどの作用により
花粉症などのアレルギー症状の改善効果もある。


さらに、ラブレ乳酸菌では、
腰や手足の冷え、肩こりや腰痛、節々の痛みといった
女性の更年期症状の改善効果が報告されている。





◆食事の後にとる
これらの乳酸菌やビフィズス菌が入っているヨーグルトや乳酸菌飲料は、
商品名や成分表示を見て選べばよい。
さらに、その効果を十分に発揮させるには、とるタイミングが重要だ。
「乳酸菌や、特にビフィズス菌は、胃酸に弱い。
だから、胃酸が薄まり影響を受けにくい食後にとるとよい」
と齋藤教授はアドバイスする。


また、辨野氏は
「乳酸菌やビフィズス菌だけをとるよりも、
それらの『エサ』となる食物繊維やオリゴ糖もたっぷりとるのが効果的。
ヨーグルトにおからやバナナを混ぜたり、
甘みをオリゴ糖やハチミツでつける方法もある。
野菜たっぷりの食事の後に、ヨーグルトをデザートとして食べるのもいい」と話す。


◆ピロリ菌の抑制にも
東海大学医学部内科学系総合内科学の高木敦司教授は、
除菌療法を始める前の3週間と除菌治療中に、
LG21乳酸菌を含むヨーグルトを食べてもらったところ、
除菌成功率は85%程度にまで上がったという。


「1回目の除菌療法が成功しない場合、薬を変えて2回目の除菌は保険がきくが、
3回目は自費診療となり、耐性菌もできやすいという課題がある。
ヨーグルトの活用で、1回目の除菌成功率を上げることには意味がある」(高木教授)