風疹ワクチン 大流行で製薬各社が出荷調整
MRワクチン推奨も価格高く
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近年にない風疹の流行を受けて風疹ワクチンが品薄となり
ワクチンを製造販売する製薬各社が出荷調整を始めた。
今年の風疹患者数は3月24日までで2418人と昨年の患者総数を超えており
予防意識の高まりによるワクチン需要が各社の予想を上回った格好だ。
一方、風疹と麻疹(はしか)の混合ワクチンであるMRワクチンの在庫には余裕があり
厚生労働省は風疹ワクチンの接種が難しい場合は
MRワクチンを接種するよう勧めているが
価格が高いため接種希望者の負担が増えることになる。
厚労省健康局結核感染症課によると
風疹ワクチンの任意接種の需要は2010年度、11年度とも約7万本だったが
12年度は2月時点で約15万本と倍増した。
武田薬品工業は昨年の風疹の流行を受け
昨夏ごろから風疹ワクチンの生産量を増やした。
12年度の生産量は前年度の2倍以上となったが
それでも需要に追い付かなくなったという。
3月下旬に医薬品卸に対し、出荷調整の実施と品薄に対するおわびを伝えた。
13年度の風疹ワクチンの生産量はさらに多い前年度比1.5倍を見込む。
第一三共は、グループの北里第一三共ワクチン、ジャパンワクチンと連名で
3月末から医療機関に対し、風疹ワクチンの安定供給が
困難になったことを伝える文書を配布している。
すでに出荷調整を始めており
需要に見合う供給ができるのは8月以降の見込みだという。
田辺三菱製薬も風疹ワクチンが不足し
同社は「支障が生じないように調整している」と説明。
ワクチンを製造する阪大微生物病研究会は
「風疹ワクチンはMRワクチンと比べるとずっと生産量は少ないものの
需要の高まりを受け、13年度は前年度の2倍以上に生産量を増やす」としている。
◆MRワクチンの在庫は100万本
一方、結核感染症課によると
MRワクチンの任意接種分の在庫は2月時点で約100万本。
麻疹の免疫を持つ人がMRワクチンを接種しても問題はないと認識しており
MRワクチンの接種を推奨する。
MRワクチンは風疹ワクチンに比べて価格が高く
都内のある医療機関では風疹ワクチンが5000円台であるのに対し
MRワクチンは8000円台と数千円の差があるが、予防接種に詳しい医師は
「若い世代で小児期に麻疹ワクチンを1度しか接種しておらず
抗体価が低い人たちもいる。MRワクチンで損することはない」と話す。