顔面神経まひ 再発、後遺症心配

医療相談室

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Question

19歳の娘が、顔の左側が急に動かなくなり
「顔面神経まひ」と診断されました。
抗ウイルス薬とステロイドを飲んでいますが
後遺症や再発の恐れはないでしょうか。

Answer 「ベルまひ」は8〜9割が改善

古田康 手稲渓仁会病院 耳鼻咽喉科・頭頸部 外科部長(札幌市)


顔の片側が動かなくなる顔面神経まひのうち
突然発症するもので最も多いのは、原因不明の「ベルまひ」です。
最近、口内炎などの原因となる単純ヘルペスウイルス1型が
引き金となることがわかってきました。


次いで多いのが、水ぼうそうの原因ウイルスで
耳やのどに水ぶくれやかさぶたが生じ
急に顔面のまひが起こる「ハント症候群」です。


これらのウイルスが、顔面神経の炎症や水ぶくれを引き起こし
まひが生じると考えられています。


治療は、抗ウイルス薬とステロイドの飲み薬を使い
ウイルスの増殖や、炎症を抑える治療が行われます。


ベルまひは、症状が軽ければ1か月程度で完全に治ります。
顔が全く動かないような高度のまひでも
8〜9割の患者は2か月程度で改善します。
残る1〜2割は、半年から1年経過してもまひが続き
まぶたと口が一緒に動く異常運動や、顔面のひきつれなどの後遺症が残ります。


ハント症候群は、ベルまひに比べて治りにくく
後遺症に悩まされることが多いのが特徴です。


ただ、ベルまひでも一度治った後に再発することもあります。
約7%の患者が、まひにもう一度かかりますが
左右が入れ替わることの方が多いです。


同じ側だけ何度も繰り返す場合は
顔面神経にできた腫瘍が原因のこともあります。
コンピューター断層撮影法(CT)や
磁気共鳴画像装置(MRI)などによる検査が必要となります。


(2013年3月27日 読売新聞)