オリーブ油・ナッツで心血管疾患初発リスク30%減

オリーブ油・ナッツで心血管疾患初発リスク30%減,RCTで証明
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1302/1302061.html



◆スペインのPREDIMED試験
オリーブ油やフルーツ,ナッツ類の摂取割合が高い地中海式の食事が
心血管疾患(CVD)の予防に有用な可能性がこれまで複数の観察研究で指摘されてきた。
2月25日,スペイン国内の多施設で実施された地中海食の心血管1次(初発)予防に
関するランダム化試験(RCT)PREDIMED(Prevención con Dieta Mediterránea)の結果が
International Congress on Vegetarian Nutrition(2月24〜26日,米カリフォルニア)
とN Engl J Med 2013年2月25日オンライン版で同時発表された。


同試験では
糖尿病や高血圧,喫煙や肥満など複数のCVD危険因子を有する高リスク例を対象に
オリーブ油またはナッツ類を積極的に摂取した場合と
従来の脂質制限のみの食事指導を行った場合の心血管疾患初発予防効果を比較。
約5年の追跡期間で,オリーブオイルまたはナッツ群において
ハードエンドポイントである主要心血管イベント(MACE)の
相対リスクが約30%減少との結果が示された。


身体活動の推奨やカロリー制限なし,地中海食群ではアルコール摂取も許可
地中海食によるCVDリスク減少効果は複数の観察研究や
2次(再発)予防に関する1件のRCT(Circulation 1999, 16; 99: 779-785)で
一貫して示されてきたと研究グループ。
今回のPREDIMED試験では
地中海食に多く登場するエクストラバージンオリーブ油
またはナッツ類の心血管疾患初発予防効果が検討された。


対象は,CVDの既往はないものの,糖尿病または喫煙,高血圧
LDLコレステロール高値,HDLコレステロール低値,過体重または肥満
またはCVD早発の家族歴のうち,3つ以上を有する高リスク例。
半数近くがACE阻害薬やスタチンを服用していた。
(1)1日50mL相当のオリーブ油摂取を目標とするオリーブ油群
(2)ウォルナッツ15g,アーモンド7.5g,ヘーゼルナッツ7.5gを摂取目標とするナッツ群
(3)そして植物油(オリーブ油を含む)の摂取を
1日スプーン2杯以下に制限した脂質制限群(対照群)
−の3群にランダムに割り付けられた。


前2群では,シーフード,トマトやタマネギ
ハーブを含むソフリートと呼ばれるソースなど
典型的な地中海食の摂取も推奨された他、習慣的飲酒者に対しては
1週間当たりグラス7杯以上のワインを食事と同時摂取することも許可。
対照群では油脂分の他,地中海食の制限も実施された。
総カロリー制限や身体活動の推奨は行われなかったが
3群ともに栄養士による指導が行われた。
中間解析で群間差が認められたため,4.8年(中央値)時点で試験は中止された。


脳卒中リスクの低下が最も顕著
全7,447例(55〜80歳)が登録され,57%が女性であった。
自己申告または生化学マーカーの分析から,オリーブ油群,
ナッツ群のプロトコル遵守率が良好であったことが確認された。
1次評価項目のMACE(心筋梗塞脳卒中または心血管疾患死)は
全例中288例(オリーブ油群96例,ナッツ群83例,対照群109例)に発生していた。
ベースライン時の各種心血管リスクを調整後のオリーブ油群の
対照群に対するMACE相対リスクは0.70(95%CI 0.54〜0.92,P=0.01)
ナッツ群の同リスクは0.72(95%CI 0.54〜0.96,P=0.03)と有意に低下していた。
食事に関連した有害事象の報告はなかった。


2次評価項目の解析では
オリーブオイル群,ナッツ群ともに脳卒中リスクの低下が最も顕著であった
(各群の調整後HR 0.67,95%CI 0.46〜0.98;0.54,0.35〜0.84)。


以上の結果から,研究グループは、「CVD高リスク例に対する
カロリー制限のないオリーブオイルまたはナッツの積極的摂取による地中海食は
MACEの発生率を減少させる」と結論を述べている。