片頭痛の新攻略法  Vol.3

日経メディカル2013年2月号「特集 片頭痛の新攻略法」転載 Vol.3
片頭痛にチョコレート厳禁はホント? 意外と多い小児の片頭痛を見逃すな
【PITFALL】頭痛診療でありがちな誤解
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t194/201302/528995.html

片頭痛を疑うポイント


◆【誤解1】
“片側がズキズキするのが片頭痛


片側に拍動性頭痛を生じるのは片頭痛の半数程度にとどまり
両側性や非拍動性の頭痛も片頭痛の可能性がある。
片頭痛拾い上げのポイントは、光や音、臭いへの過敏性だ。


間中病院の間中信也氏は
「『片頭痛は血管性頭痛なのでズキズキするはず』と思い込まないでほしい」
と強調する。
片側のみがズキズキする典型的な片頭痛は、片頭痛患者の半数程度にすぎず
拍動性の頭痛のみをキーワードとすると、片頭痛を見落としかねないからだ。


片頭痛を疑うポイントとして、富永病院の竹島多賀夫氏は
「発作中に、光や音、臭いなどに敏感になるかどうかを聞くといい」とアドバイスする。
加えて、「入浴や労作で悪化する頭痛は片頭痛の可能性が高い」とも言う。


◆【誤解2】
“肩凝りがあるのは緊張型頭痛”


肩凝りを訴える片頭痛患者は多い。
発作の予兆の一つに肩凝りや首の痛みがあるためだ。
肩が凝るようなことをせずに肩凝りが生じる患者では、片頭痛を第一に疑いたい。


肩凝りがあれば緊張型頭痛と即断していないだろうか。
竹島氏は、「肩凝りの有無から緊張型頭痛と片頭痛を区別しようとすると
間違いを生じかねない」と指摘する。


片頭痛発作の初期の症状として、頸部の痛みを訴える患者は少なくない。
これは、三叉神経核と頸部神経が三叉神経背側核で合流し
痛み刺激が混戦して生じるもの。
この予兆を患者自身が肩凝りや首の痛みと表現することがある。


片頭痛の予兆として生じた肩凝りと、緊張型頭痛による肩凝りの見分け方として
「肩が凝るようなことをしたかどうかを確認するといい」と竹島氏はアドバイスする。
長時間のデスクワークなど肩が凝るようなことをしていないのに
肩や首が痛むという患者のほとんどは、片頭痛患者と考えられる。


また、加齢に伴い患者数が増える変容片頭痛でも
緊張型頭痛に似た症状が生じるので要注意だ。
特に肩凝り、首の痛み、不眠などを伴う中高年者の頭痛を
安易に緊張型頭痛と診断しないよう注意したい。
変容片頭痛には緊張型頭痛の治療は効かないが
片頭痛が基盤にある緊張型頭痛様の症状には片頭痛の治療が有効だ。



群発頭痛を疑うポイント


◆【誤解5】
“チョコレートは片頭痛を誘発”


アルコールやナッツ類、チーズやチョコレートなどは
昔から片頭痛の誘発因子と疑われていた。
しかし、「チョコレートとプラセボを用いた二重盲検試験により
誘発率に有意差がないことが示され、チョコレート犯人説は否定されている」と間中氏。


食事制限以上に間中氏が勧めるのが
ビタミンB群やマグネシウムを多く含む緑黄色野菜に富む食事だ。
「いわゆる健康的な食生活が片頭痛発作の予防になる」と話す。