乳酸菌、ビフィズス菌

笹嶋勝「クスリの鉄則」



生菌製剤(1)
乳酸菌、ビフィズス菌酪酸菌などの生菌製剤の種類と特徴
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/tessoku/201211/527816.html


◆はじめに
ヒト大腸内には、400〜500種かそれ以上
菌数にして1gあたり1兆個の腸内細菌が生息しているとされます。
これらは、同じ種類の菌で塊を作り、あちこちに生息しているような状態で
ある細菌フローラ(フローラは花畑の意味)を作っています。
この細菌フローラは生涯、ほぼ同じような形で存在します。


フェーカリス菌、アシドフィルス菌などは小腸に生息するのに対し
ビフィズス菌は主に大腸に生息します。酸に弱いことが指摘されていますが
食後の服用であれば生菌のまま腸まで届くとされています。


◆生菌製剤の種類

乳酸菌と同一のものと扱われることも多いですが、細菌学的にはまったく異なる菌です。
ビフィズス菌は動物の腸管のみに生息する菌です。
乳酸菌が乳酸を産生するのに対し、ビフィズス菌は乳酸と酢酸を産生します。

胃酸・胆汁酸などに対する高い消化液耐性を有することが特徴としてあげられています。

ガッセリ菌とアシドフィルス菌を配合したものです。俗に言う乳酸菌です。

酪酸と酢酸を産生します。
酪酸には、消化管上皮の細胞増殖促進作用、水・ナトリウム吸収調節作用
消化管粘膜血流増加作用、腸管運動亢進作用もあります。
これにより、便秘にも効果があります。


◆整腸における生菌製剤の働き
整腸作用のメカニズムの一つとして、悪玉菌の増殖抑制があります。
これは、整腸作用を持つ菌により
乳酸菌、酢酸、酪酸などの酸が産生されることになり
腸管内pHが下がり、これが酸性条件で成長抑制される悪玉菌の増殖抑制に働きます。
また、アンモニアの腸管での吸収も減少するため
肝硬変時の高アンモニア血症抑制にも効果があります。


ラクツロース(モニラック他)などの高アンモニア血症治療薬は
大腸において整腸作用を持つ善玉菌のエサとなり
乳酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸が産生され、アンモニアの腸管吸収が抑制されます。

モニラック

薬効薬理
1. ヒト消化管粘膜にはラクツロースを単糖類に分解する酵素がないので
経口投与されたラクツロースの大部分は消化吸収されることなく下部消化管に達し
細菌による分解をうけて有機酸(乳酸、酢酸等)を生成しpHを低下させた。
その結果、pH値酸性側で十分生育できるLactobacillusは増加し
Bacteroides、E. coli等は減少した。


2. 下部消化管に達したラクツロースは、その浸透圧作用により緩下作用を発揮するが
さらにウサギ腸管を用いた実験により
ラクツロースの分解により生成した有機酸が腸管運動を亢進させることが示された。


3.ヒト腸管ではpHが高いほどアンモニアの腸管吸収率の高いことが認められているが
ラクツロースの分解によって生成した有機酸により腸管内pHが低下するため
腸管でのアンモニア産生及びアンモニアの腸管吸収が抑制され、血中のアンモニアが低下した。