国債保有の実態

本当は恐ろしい国債保有の実態 海外投資家が過去最高
大前研一のニュース時評
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20121007/ecn1210070711000-n1.htm



日本銀行が9月20日に発表した
今年4−6月期の資金循環統計(速報)によると
海外投資家が保有する日本国債の残高は6月末に
81兆6133億円と過去最高になった。
前年同月末に比べて20%増えている。


2007年は40兆円台だったのが、今年は2倍になっている。
これは地方銀行並みの保有数だ。
欧州の債務危機が長引くなか、海外投資家の資金は
比較的リスクが小さい日本国債に向かっているということだ。


外資金の流入増は日本経済の活性化にもつながり
一見けっこうなことのようにも思える。
しかし、本当に喜んでいいのかどうか疑問だ。


というのも、海外投資家は逃げ足が速いからだ。
もし、何か日本についての悪い情報が出てきたり
国債の格付けが見直されるだけで
短期間で巨額の投資資金を動かす海外投資家はすぐに逃げてしまう。
80兆円もの国債を一気に売られたら、日本はたまらない。


一方、同じく日銀の4−6月期の資金循環統計では
6月末の家計が保有する金融資産の残高は
1515兆1479億円と前年同月末に比べ0・1%増えている。
現金・預金は1・8%増の844兆1202億円と過去最高になった。


海外経済の減速や国内経済の先行き不安感もあって
これまた一見、個人が現金を手元に残しているようにも思える。
しかし、実はこの考えも間違っている。


銀行はこの預金で企業の株を保有、法人への融資、住宅ローンなどの
個人への融資などをしていたが、今は株や融資が大幅に減って
主として国債を購入するようになっている。
つまり、銀行預金は国債に化けているわけだ。
公的資金で救済された大銀行が
(そのお礼に)国の御用機関となってしまった、という見方もできる。
つまり、銀行に預金していると思っている人たちは
実は現金ではなく国債を購入している、ということになる。


先に触れたように
外国人投資家が保有する国債残高は非常に増えていて、彼らは逃げるときは速い。
対GDP比で世界最大の借金国となった日本の国債は、いつ爆発するかもしれない。