病院の薬事委員会で「フォサマック」が
ジェネリックの「アレンドロン酸」に切り替わったので
薬局でも全面切り替えである。
監査をしていた俺は
同じく監査台に座っていた薬剤師のアイちゃん(26歳)に話しかけた。
「『アレンドロン』って『アラン・ドロン』みたいだね」
「『アラン・ドロン』ってなんですか?」
と、アイちゃんは答えた。
ああ知らないのか・・・
アラン・ドロンはもう80近いジジイだもんな。
近くで調剤していたトモちゃん(26歳)に
「『アラン・ドロン』って知ってる?」と聞いたら
「ギリで。」 と答えた。
もちろん、この「ギリ」は「義理」ではない
ということは俺はわかっている。
俺はその後も、他の薬剤師に
アラン・ドロンを知っているかと聞き続けていたが
それをさえぎるように
声がやたら大きいオバア薬剤師(推定65歳)が
疑義照会で医者に電話をかけはじめた。
「先生、サインバルタンの処方の件で・・・」
ププッ!
俺はふき出した。
この人は、『サインバルタ』を
『サインバルタン』と覚えてしまっているようだ。
そこで俺はふたたびアイちゃん(26歳)に話しかける。
「『バルタン星人』って知ってる?」
「しらない」
一包化の監査をしていたアイちゃんは迷惑そうに答える。
しらないよね、バルタン星人なんて。