現金保有は最大のリスク

個人にインフレの警鐘 「現金保有は最大のリスク」
ヴェリタスセミナー2012 識者が語る
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819488E3EAE2E3E48DE3EAE2E6E0E2E3E099E3E7E0E2E2

 

藤巻健史氏(フジマキ・ジャパン代表取締役

米国経済についてはかなり前から一貫して強気だ。理由は2つ。
抽象的に言えば米国は資本主義のリーダーであり、事象面からは株が強いということだ。
ダウ工業株30種平均はリーマン危機前に付けた史上最高値に近づいてきた。
色々な分析の仕方があるが、株は半年、1年先の市場をみる。
米投資家は欧州問題などの悲観的な情報をすべて咀嚼したうえで株を買っている。
株高による資産効果実体経済を押し上げる側面もある。
今年中に株価は史上最高値を軽々と超えていくと思っている。


欧州の共通通貨であるユーロはいわば、地域固定相場制。いつまでも続くわけがない。
欧州が1つの国家になるか、ユーロを解体するかのどちらかしかないと思っている。
ユーロとの交換を保証したうえで、各国がユーロ導入前の通貨に戻るとみている。


ふじまき・たけし 1950年生まれ。一橋大卒。
三井信託銀行、モルガン銀行などを経て、フジマキ・ジャパン代表取締役
モルガン銀時代は抜群の運用成績をあげ「伝説のディーラー」と呼ばれる。

逢坂ユリ氏(作家・資産運用コンサルタント

日本経済は復興需要、個人の消費マインド回復
エコカー補助金による自動車販売の持ち直しなどで当面は内需主導で回復する。
半面、世界経済減速と円高の影響で輸出の伸びは期待できない。
デフレ脱却は難しいとみている。電力不足問題の長期化による電力コストの上昇
社会保障改革の遅れやTPP参加問題など決められない政治がリスクになっている。


あいさか・ゆり ニューヨーク大卒。
モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント
ゴールドマン・サックス証券などを経て、2005年独立。
資産運用やマクロ経済見通しなどをテーマに講演活動。

渋沢健氏(コモンズ投信会長)

10年前に比べると、東証株価指数(TOPIX)は約2割下落している。
これだけ見ると、日本株は魅力がないと思うかもしれないが
このような環境下で30%以上上昇した企業があったらどう思うか。
それはローソンであり、ベネッセホールディングスだ。
いずれも内需型の企業だが、国内景気が落ち込む中でも高いパフォーマンスをあげている。


海外の成長を取り込む会社もある。
ユニ・チャームは株価が3.5倍、コマツは5倍にも上昇している。
「平均」や「総額」でみると間違ったメッセージを読み取ってしまうが
目を凝らせば宝石がごろごろ転がっている。日本は銘柄選択のパラダイスということだ。


しぶさわ・けん 1961年生まれ。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院卒。
ファースト・ボストン証券などを経て、2007年にコモンズ(現コモンズ投信)を創業。
08年から会長。

日経ヴェリタス2012年4月22日付