日本脳炎

日本脳炎「予防接種受けて」 未接種の子供なお多く
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A96889DE1EBEBEAE1E0E3E2E0EBE2E1E0E2E3E0979EE382E2E3;p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E3E2E3





脳に重い障害などを起こす日本脳炎
有効な治療法がないため、ワクチンの予防接種が重要だ。
ワクチンが原因とみられる副作用が報告されたのを機に
接種が事実上中止になったが、新ワクチンが承認され
一昨年から国は再び接種を勧奨するようになった。
ただ中断していた空白期に接種しなかった子供も少なくない。
専門家は、自治体から案内が来たら忘れずに接種してほしいと呼びかけている。


日本脳炎は原因となるウイルスが感染して起こる急性脳炎だ。
ウイルスに感染した豚を蚊(コガタアカイエカ)が刺し
さらにその蚊(感染蚊)が人を刺すとうつる。
ただし、ウイルスに感染しても発症するのは100〜1000人に1人程度で
大半は症状が表れないという。また、人から人にはうつらない。

患者、年10人以下




日本脳炎と名前が付いているが、原因ウイルスは
東アジアや東南アジアに広く分布しており、数万人規模の患者が発生している。
潜伏期間は6〜16日で、その後に高熱や頭痛、痙攣、嘔吐、意識障害といった症状が表れる。
今のところ有効な治療法がないため、発症すると約20〜40%が亡くなる。
神経系の後遺症が出る例も多い。


国内の患者数は1966年に2000人を上回るなど多かったが
予防接種や網戸の普及、田んぼの減少などでその後は激減。
近年は年間10人以下で推移している。


患者の大半は高齢者で、主に豚の感染率が高く
気候も温暖な九州・沖縄、中国、四国などで発症する例が多い。
韓国では2010年に日本脳炎患者が25人報告された。


日本脳炎はワクチンによる予防が重要として、厚生労働省も定期接種に取り組んできた。
ところが2004年に、旧ワクチンを接種した中学生が
ADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)という重い病気を発症したと報告された。
旧ワクチンはウイルスをマウスの脳に感染させて作っていた。


ワクチン接種とADEMの発症との因果関係が否定できないとして
厚労省は05年から接種の積極的な呼びかけをやめ、接種は事実上中止された。


その後、09年に現行の「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」が承認され
翌年から厚労省は接種の勧奨を再開した。
このワクチンは作り方が変更されており
原因ウイルスを特殊な細胞で増殖させてからウイルスを採取。
感染性をなくす不活化処理をした後に精製する。
マウスの脳成分が混入する恐れはない。

「定期」は2期4回




定期接種は2期4回で
第1期は生後6カ月以上90カ月未満の間に3回
第2期は9歳以上13歳未満の間に1回となっている。
厚労省は標準的なスケジュールとして
3歳に2回、4歳に1回、9歳に1回受けるよう勧めている。


日本経済新聞夕刊2012年3月30日付)