微小血管狭心症

狭心症、更年期女性の1割が発症 胸の痛み長く続く
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A96889DE1EBE5EAEAEAE4E2E0E0E2E1E0E2E3E0979EE382E2E3;p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E3E2E3



千葉県に住むA子さん(62)が胸の痛みを感じたのは4年前。
「朝方に長くて細い感じの痛みが起きた。短い時は30分程度、長いと1日痛んだ」。
そこで、近所の病院の循環器科を受診し、心電図のほか、カテーテルを使って
冠動脈の状態を調べる検査もしたが、異常は見つからなかった。
胸の痛みが取れないため、ニトログリセリンを処方されたが効かなかった。


「微小血管狭心症」と診断がついたのが2年後。
心臓の筋肉にある細い血管が収縮しやすくなり
胸やあご、背中の痛みなどを引き起こす病気にかかっていた。
A子さんは適切な治療で痛みもほとんどなくなった。


微小血管狭心症は女性の中でも特に更年期に多い。
「血管を広げる女性ホルモンであるエストロゲンの量が閉経で減り
心臓の細い血管が収縮しやすくなるのが原因と考えられている」と
静風荘病院(埼玉県新座市)の天野恵子医師は説明する。


この病気が米国で報告されてから20年以上たつが
「循環器専門の医師でも詳しい人は多くない」(天野医師)。
A子さんのように診断がつかずに、複数の医療機関を渡り歩く人が後を絶たないという。


これまでの研究で病気の特徴は分かっている。
就寝中など安静時に起こりやすいことと、痛みが長引くことだ。


日本大学付属練馬光が丘病院の福島聖二ICU・CCU室長は
「10分から場合によっては数時間、ひどいケースでは一日中痛む」と指摘する。
また胸の痛みを感じても、逆流性食道炎だったり、更年期障害だったりするケースも少なくない。


治療も一般の狭心症とは異なる。
ニトログリセリンは細い血管を広げる作用が弱いため、カルシウム拮抗薬を投与する。
天野医師によると、約9割で胸痛がなくなるという。
うつ病などに用いる漢方薬が効く患者もいる。
日本経済新聞夕刊2012年3月23日付]