知っ得ワード 日本経済新聞
Sunday Nikkei 2011年11月20日
漢方薬④ 感染症への処方、臨機応変に
漢方薬は感染症の治療を得意としています。
風邪の初期段階で汗をかきにくい人には、葛根湯や麻黄湯を使います。
一方で汗が出て体温が上がらない人は、桂枝湯や香蘇散を使います。
「寒い 寒い」と繰り返す人には、冷え性にも使われる麻黄附子細辛湯が効果を発揮します。
風邪が悪化し 咳が酷くなってくると 葛根湯などは効きにくくなります。
代わりに小柴胡湯や柴胡桂枝湯を使います。
熱は下がったけれど 咳が残るケースでは麦門湯が有効です。
ウイルスは熱に弱く、漢方薬が体温をあげる事で、ウイルスを排除します。
このため、風邪を引いたと思ったら、すぐ体を温めて下さい。
漢方薬がエキス剤の場合は熱湯で溶かし、少し冷ましてから飲むのが良いでしょう。
渡辺賢治・慶応義塾大学漢方医学センター診療部長
