或る再会


http://photography.nationalgeographic.com/photography/photo-of-the-day/clown-anemonefish-indonesia-laman/




土曜日、中学の同級生G君と、何年かぶりに会った。


G君は大学卒業後、大手プリンター会社に就職
マレーシアのクアラルンプルで2年間勤務した後、転職した
と年賀状に書いてあったが、転職先はどこか知らなかった。


G君は「ハイパーホテル」にチェックインしたというので
俺は小禄駅前の「ハイパーホテル」に行ったがG君はいなかった。
電話すると、彼がチェックインしたのは奥武山公園駅近くの
スーパーホテル」で、単に俺の勘違いだった。


G君にタクシーで小禄の禁煙居酒屋「こぱん」に来させて話を聞くと
彼はレセコンの会社に勤めていて「九州山口薬学大会」が
沖縄で開催されたから展示にきた、という話だった。


昼間、大阪でも展示をしてから沖縄に入ったというG君に
「こきつかわれとるなあ、サラリーマンはつらいのー」と俺は言い
しばらくはクアラルンプルの話を聞いていた。
彼は老後はクアラルンプルに住むかもと言っていたので
ぜひ俺も住めるよう手配してくれと頼んだりして、俺は次第に酔っぱらっていく。


1時間ぐらい話をしてやっとわかったことだが
彼はレセコン会社のしがないサラリーマンではなく「取締役」だという。
さらにマレーシアでは、子会社の「社長」だったとのこと。


俺はびっくりした。
同級生で「取締役」とか「社長」とか初めて聞いた。
名刺も出さず、一切自慢しないのが彼の素晴らしいところなのだ。


さて、彼は腹が出ていたので、糖尿はだいじょうぶか、と俺は聞く。
「糖尿のケがある」と彼は言う。
HbA1cって知っとるか?」と俺
「6.3や」
「もう糖尿病やんけ、俺は4台やぞ」
そこで、俺は糖尿病がいかに怖いかってことを延々と講義した。


「医者が危ないって言ってるのは医者の儲け主義やと思っとったが」
「アホか! ホンマに危ないぞ!!」俺がそう言うと
G君は飲んでいた久米仙のグラスを置いて、もう飲むのをやめた。


座がしらけて、お開きにすることにした。
俺がトイレに行っている間にG君は清算をすませて奢ってくれた。


彼はホテルまで歩いて運動すると言ったので、俺も付き合った。