神経のバランス保つ

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漢方薬(3) 神経のバランス保つ  :日本経済新聞


西洋医学では、精神と肉体は別物として取り扱いますが
漢方では「心身一如」の立場で治療をします。
現代社会はストレス社会ともいわれており、漢方薬が活躍しています。


例えば、会社での大事なプレゼンテーションを控え
神経質になると、のどがつまる人がいます。
このような人に対し、よく使う漢方薬半夏厚朴湯です。
身体症状がなく、なんとなく気分が沈んだときには香蘇散を使います。
豊臣秀吉の時代の朝鮮半島での戦争「文禄・慶長の役」で
加藤清正軍の士気が落ちたときに使われたことでも有名です。


また、ちょっとした物音が気になったり、夢をたくさん見たりする人は
交感神経と副交感神経のバランスが崩れています。
こうしたケースでは、桂枝加竜骨牡蛎(けいしかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などが使われます。


不眠症に関しては、高齢者には酸棗仁湯(さんそうにんとう)や
加味帰脾湯などを使い、若い人には神経の高ぶりを抑える抑肝散などを使います。
食事や入浴を早めに済ませ、ゆったりした気持ちで温かい漢方薬を飲むと、より有効です。
(渡辺賢治先生・慶応義塾大学漢方医学センター診療部長)