朝食に果物を食べよう

朝食に果物を食べよう
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A96889DE1E6E6EAE5E7EAE2E2E0E2EBE0E2E3E385E3E1E2E2E3;p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E3E2E3



「朝の果物は金」ということわざがある。
一日の生活を始めるにあたって必要な栄養素が摂取できるというのがその理由だ。
不足しがちな栄養素を補えるほか、加熱調理する必要がないので
忙しい現代人の朝の時間帯でも比較的食べやすい。
朝食に果物を食べる様々なメリットについて検証してみた。


朝食を英語で「ブレックファスト(=断食を破るの意)」というように、私たちは
朝食によって、睡眠中は口にしていなかった食べ物を、数時間ぶりに口にすることになる。
女子栄養大学の香川靖雄副学長は
「朝は消化管の活動が鈍いので、吸収されやすい果物は朝食に適している」と言う。
果物に含まれるのは主に水分と炭水化物。
寝ている間に汗などで失った水分を補うことができ
エネルギー源となる炭水化物も摂取できるからだ。


日本人に不足しがちな栄養素である食物繊維や
カリウムが豊富に含まれているのも果物の特徴だ。
カリウムはナトリウムを排出し、血圧を下げる効果があるとされる。
一日のうちで、血圧が最も上がりやすい時間帯は朝なので
「高血圧の人は朝食に果物を食べるといい」(香川副学長)。
食物繊維は便通の改善にも役立つ。


食物に含まれる酵素に着目して
患者への食事指導をしている鶴見クリニック(東京都中央区)の鶴見隆史院長は
「起きたばかりで活動が鈍っている胃腸に負担をかけないため
朝食には果物を食べた方がいい」と助言する。
食べ物を消化する際、体内ではアミラーゼなどの消化酵素が使われるが
生の果物に含まれる酵素がその働きを助けるという。


「朝は食事をする時間というよりも、前の日に摂取した食品のかすを排せつする時間
と考えたい」(日本リビングフード協会のいとうゆき代表)という意見もある。
朝に重い食事をすると、エネルギーが消化に使われ
排せつがスムーズにいかなくなる場合があるという。
消化しやすい生の果物は
「消化器官に負担を与えないので、朝食にお薦め」(いとう代表)という。


栄養学の観点からは1日200グラムの果物を食べることが推奨されているが
現代人が実際に摂取しているのは半分の110グラムほど。
200グラムの目安は、桃やナシ、リンゴなら1個、ブドウは1房、ミカンは2個程度。
どんな果物を食べるかは好みで選べばいいが
「旬の時期に採れた果物は、各種の栄養素が豊富に含まれている」
茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科の山田康輔助教


「朝食には炭水化物とたんぱく質を摂取するのがいい」(香川副学長)
朝食に果物を食べれば、炭水化物を取ることはできるが、たんぱく質は不足する。
「果物だけでなく、卵やヨーグルト、チーズなど
良質なたんぱく質を合わせて食べたほうがいい」(香川副学長)。
三大栄養素をバランス良く取るという観点からも
果物で不足する、たんぱく質や脂質との組み合わせは相性がいい。

[日経プラスワン2011年9月3日付]