熱中症、夏バテ対策

熱中症、夏バテ対策
白虎加人参湯、清暑益気湯、啓脾湯の三本柱を基本に
三浦於菟先生(東邦大学医療センター大森病院東洋医学科 教授)
http://www.tsumura.co.jp/password/magazine/148/index.htm


夏季疾患の治療は漢方薬の独壇場

熱中症、夏バテといった夏季の特徴的疾患の治療に有用な西洋薬は
重症例を除けばなく、漢方薬の独壇場といえます。
熱中症には白虎加人参湯
夏バテには清暑益気湯
消化機能改善には啓脾湯が適応となります。

体内の熱を冷まし、体液を潤し、元気をつける・・・白虎加人参湯

白虎加人参湯の“白虎”は、中国伝説の四獣神の1つで
西方を守る秋の神であり、構成生薬の石膏の白色にも通じています。
白虎加人参湯は、夏季の暑さなどの病態を
秋季の涼しさのように冷まし爽やかにする漢方薬です。
適応病態は熱による熱感、口渇、発汗、倦怠感などや熱中症で構成生薬の石膏や知母が
体内の熱を冷まし、甘草や粳米が体液を潤し、人参が元気をつける効果を有します。

消化機能を高め、熱を冷まし、体液を潤し、元気をつける補剤・・・清暑益気湯

清暑益気湯は比較的体力が低下しており、食欲不振、全身倦怠感
軟便、尿量減少、自然発汗、手足の熱感などを伴う場合に用います。
いわゆる夏やせや夏負けに多用される漢方薬
消化機能を高め、熱を冷まし水分を補給することで元気をつける薬です。
構成生薬の黄柏はミカン科キハダの樹皮内皮で、清熱作用を有します。
また、当帰、人参、麦門冬、五味子は血と水分を補い元気にする作用があります。

下痢、消化不良への補剤・・・啓脾湯

下痢や消化不良など、消化器症状を強く訴える場合に使いやすい処方が啓脾湯です。
啓脾湯は、比較的体力の低下している人の下痢に用いられます。
啓脾湯の啓脾とは、消化不良などによって閉じられた胃腸を開かせ
胃腸の機能を目覚めさせるという意味があります。
啓脾湯は、ほぼ六君子湯の構成生薬を含んでいます。
六君子湯に加えて、止瀉薬(沢瀉・蓮子・山薬)が含まれていること
構成生薬の山薬は潤性の補気健脾薬であり
慢性疾患への長期連用を可能にしている点が主な特徴といえます。