ナウゼリン

http://www.kksmile.com/druginfo/table/a/538/all/

ナウゼリン経口剤の承認用量を成人と小児で比較すると、小児用量の方が体重当り高く設定されているのは何故か?また、このような用量設定で安全性に問題はないのか?

小児は成人と比較して細胞外液量の比率が高く
(成人:体重の20%、新生児・幼若乳児:40%)
すなわち生体内分布容積が大きいこともあって
成人と同じ薬物濃度を得るには体重換算での用量を
年齢が低い程高めに設定する必要があるとされる。
ナウゼリンの小児用量が体重当り高く設定されている点においても
このような考え方と照合し、安全性の面においても
小児の副作用発現頻度が成人よりも高いという結果は
開発時及び市販後調査等の結果からも検出されていない。


ナウゼリン錠に比べ、ナウゼリン坐剤の用量が高めに設定されている理由は?

これらの用量は
経口剤と坐剤の双方を対比した厳密な用量試験に基づいて設定された訳ではなく
各々の使用対象となる疾患の消化器症状の程度や性質を考慮して実施された
臨床試験の結果に基づいて決められたものである。
成人に用いる60mg坐剤は、当初胃・十二指腸手術後の消化器症状のみ適応を得たが
抗悪性腫瘍剤投与時の消化器症状の効能・効果追加に際しては
ナウゼリン錠10を対照薬とした二重盲検比較試験の実施によりその有用性が
確認されると同時にナウゼリン坐剤60の用法・用量の妥当性が検証されている。
他方、小児におけるナウゼリン坐剤の用量は外国での使用実態も参考とされ
3才未満には10mg坐剤を、3才以上の小児には30mg坐剤を投与するオープン試験で
経口剤(主としてドライシロップ)と遜色のない有用性を示したことにより
ナウゼリン坐剤10及びナウゼリン坐剤30の妥当性が確認されている。
なお、ナウゼリン坐剤の用量設定に関しては、薬物の吸収動態が経口剤に比べ
坐剤では緩徐で持続的(Tmax、T1/2、並びにAUCが高値)であること
及び経口剤の服用困難な症状の強い患者に頓用することが考慮されている。

ナウゼリンによる錐体外路症状の発現は、投与量や血中濃度と相関するのか?

ナウゼリンによる錐体外路症状の発現には
血液‐脳関門の機能が大きく関与すると考えられている。
血液‐脳関門の機能が正常に保持されている状態では
ナウゼリンは血液‐脳関門を通過しにくい薬剤であることから
投与量や血中濃度錐体外路症状の発現とは相関しないとされる。
特に、3〜4歳位までの乳幼児(乳児1歳未満、幼児7歳未満)では
血液-脳関門の発達が未完成であり、錐体外路症状の発現が懸念されることから
投与量に注意が必要である。