原発事故でなぜ円高? ドル買い・海外投資に慎重
http://www.nikkei.com/access/article/
Q 地震や原発事故は日本経済に打撃なのに、なぜ円が買われるの?
A 日本は経常黒字国なので、海外に製品を輸出して得た売り上げや
海外で保有する証券から得た利子や配当などが、日常的にドルから円に換えられている。
一方で、国内の投資家は海外に投資するために円をドルに換えている。
普段は円買いと円売りがある程度釣り合っているので、円相場が安定している。
だが、国内投資家が海外への投資に慎重になるとバランスが崩れ、円高が進みやすくなる。
このため、今回の地震のように投資家の不安心理が高まる局面では円高に振れやすい。
Q 日本の損保会社が保険金支払に備えて円買い・ドル売りを進めているとも言われるね。
A 実際には、保険会社の円買いは少ないと言われている。
ゴールドマン・サックス証券の試算によると、国内損保業界の支払予想額は6千億円強。
大手3社の手元資金は1兆円近くあるため
わざわざ海外の資産を売って国内に資金を戻す必要性は低い。
ただ、被害がどこまで拡大するか分からないため
「損保の円買い」がまことしやかに語られている面もある。
実際のお金の動きというよりも、投機が円相場の動きを大きくしているといえる。
Q 企業のお金の動きはどうなっているの?
A 市場参加者によると、海外に蓄えていたドルを円に戻す企業が目立つようだ。
国内生産の回復に必要な資金を確保するための動きとの見方もあり
これが円高の一つの理由なのは確かだ。
もっとも、しばらくは国内生産が落ち込むため、輸出が鈍る一方で、輸入は増えるとみられる。
貿易収支が悪化すれば、円相場の潮目が変わる可能性も否定できない。