医食同源

日経新聞 漢方道場
北里大学東洋医学総合研究所所長 花輪壽彦先生
http://www.nikkei.com/life/health/page/p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E2EBE1


Question

漢方の根本的思想といえる「医食同源」という言葉は
中国のどの時代の書物が出典なのでしょうか。

Anser

医食同源」は古代中国で生まれたものではありません。
1970年代に入って、栄養第一主義の欧米食文化への反省や
日中国交回復を機にした中国文化の再認識の中から
中国式食養生が日本でもブームになりました。
この時に使われた言葉が「薬食同源」や「医食同源」で、日本での造語です。


古代中国では医師を4ランクに分けていました。
周王朝の制度習慣を紹介した「周礼(しゅらい)」によると
最高位の医師は「食医」、すなわち、王の食事の調理・管理を任されていた医師です。
食医に次ぐランクは「疾医(しつい)」で今の内科系医師
次は「瘍医(ようい)」で今の外科系医師で、4番目が獣医でした。
「薬」としての「食」の重要性が指摘されており
その意味で、「医」や「薬」が食と「同源」という思想は
中国医学の根幹をなすものであったことは事実といえます。


現在の日本の漢方治療においても
桂枝(シナモン)、生姜、大棗(たいそう、なつめ)小麦、玄米など
日常的な食材が漢方薬の素材になっており、薬と食が「同源」であることは疑いありません。